森山 知洋
気象予報士/健康気象アドバイザー/防災士/北海道防災教育アドバイザー
20年以上の気象予報士歴の中で放送局の気象キャスターなど様々な業務を経験。健康気象講座や防災講演の講師を務めるなど健康気象や防災のスペシャリストとしても幅広く活動中。
20年以上の気象予報士歴の中で放送局の気象キャスターなど様々な業務を経験。健康気象講座や防災講演の講師を務めるなど健康気象や防災のスペシャリストとしても幅広く活動中。
積雪の多い雪国では、2月の後半が一年の中で最も雪が深くなる時期です。一面の雪に覆われた下の温度や湿度、環境はどうなっているでしょうか?
降り積もった雪の下は、驚くほど一定の環境に保たれていています。雪の下は、外気がどんなに氷点下の厳しい冷えこみになっても、0度前後を持続しています。さらに雪は低温でもわずかに蒸発しているため、積雪の下は常に湿度がほぼ100%です。
雪は太陽の光を反射する性質があるため、20cmくらい降り積もった雪の下は真っ暗で、紫外線もほとんど届きません。真っ白な雪の下は、どんなに外が晴れて明るくても、真っ暗な世界が広がっているのです。
雪の下は、温度0度、湿度100%、そして光や紫外線も届かないことから、まさに「理想の冷蔵庫」といえる環境です。
この冷蔵環境を農業に活用し、北海道などでは雪中貯蔵野菜の生産が盛んです。「越冬キャベツ」の発祥地として知られる北海道の和寒町では、一番寒い時期にはマイナス25度を下回ることも珍しくありませんが、雪の断熱効果で温度0℃・湿度100%をキープできるため、春先にかけて、新鮮な状態を保つことができます。その他、北海道では函館の「雪の下だいこん」、真狩村の「雪下にんじん」など、様々な雪中貯蔵野菜が生産されています。雪はたくさん降ると雪かきで大変ですが、このような恵みもあるため、ありがたい存在でもあります。