気象予報士として25年以上にわたり気象情報の提供に従事。頭痛ーる開始後からサービス追加に関わり、健康管理士取得後は気象と健康の両面から健康管理の普及に努める。
第26回国際神経学会において、頭痛ーるの記録データと気象データを用いた共同研究成果に関する「天気と頭痛発生に関する頭痛ーるビッグデータと人工知能(AI)を用いた研究」について勝木将人先生(諏訪赤十字病院 脳神経外科)が共同研究の代表者としてポスター発表を行い、ベストポスター賞を受賞しましたのでお知らせいたします。
国際神経学会(WCN)は、全世界にある123の神経学会を代表する国際神経学連盟(WFN)が2年ごとに開催する学会で、今年は2023年10月15日から19日にモントリオールで開催されました。
今年の国際神経学会では1000ほどの研究のポスター発表が行われ、その中で優れたポスタープレゼンテーションを行った研究者に授与される賞として、ベストポスター賞を受賞しました。
今回こちらの研究を、今後のさらなる研究計画なども含めながらポスターで発表しました。会場には約500枚 x 2セッションと多くのポスターが掲示され、積極的な議論がいたるところでなされていました。
本発表に対して、「ヨーロッパでもこのアプリを使ってみたい」「天気が悪いと頭痛が起きることがきちんと証明されたから、悩んでいた患者さんはハッピーになると思うよ」といったコメントをいただきました。
また「どんな人が天気に影響されて頭痛を起こしやすいのかわかるといいね」といったさらなる研究への足がかりとなるコメントもいただきました。
こちらの発表がベストポスター賞をいただくことができました。天気が頭痛と関係するということが世界共通の事象であり共感を得られたことと、スマートフォンアプリのビッグデータをAIを用いて解析するという最新の手法が評価されたのかもしれません。
私は今回のポスター発表の他に、国際頭痛学会会長Cristina Tassorelli先生座長のもと、片頭痛への偏見とその解消への取り組み(AI診断やオンライン診療)について口演しました。拍手喝采、カナダ頭痛学会会長Elizabeth Leroux先生からお褒めの言葉を全体の前でいただきました。今回の学会発表の経験をもとに、さらなる研究に励みたいと思います。
写真右側:勝木将人先生
また、2023年11月4日に都内で開催された第41回日本神経治療学会学術集会のシンポジウムにおいても本研究が紹介され、参加者より高い評価をいただきました。
さらに、2023年12月3日に横浜で開催された第51回日本頭痛学会総会においても本研究が勝木先生より発表され聴衆者から評価されました。
頭痛ーるの共同研究が世界の医学会で評価されていますが、頭痛ーるをご利用いただいている皆さんが付けていただいた記録データがなければ実現することはできませんでした。多くの皆さんに記録を継続的に付けていただいていることに大変感謝しております。
今後もご活用いただけるサービスとなるよう取り組んで参ります。
ベルシステム24、糸魚川総合病院、獨協医科大学、埼玉精神神経センター、国立病院機構七尾病院の共同研究
「頭痛ーる」アプリによって集められた匿名のビッグデータとAIを用いて、天気と頭痛発生に関して研究を行いました。解析の結果、「気圧の変化と、降雨や湿度が頭痛発生に関与する」ことが示唆され、研究成果をHeadache誌に報告しました。
論文名 Investigating the Effects of Weather on Headache Occurrence Using a Smartphone Application and Artificial Intelligence: A Retrospective Observational Cross-Sectional Study
日本語名 スマートフォンアプリと人工知能を用いた天候が頭痛発生に及ぼす影響の検討
著者 Masahito Katsuki, Muneto Tatsumoto, Kazuhito Kimoto, Takashige Iiyama, Masato Tajima, Tsuyoshi Munakata, Taihei Miyamoto, Tomokazu Shimazu.
掲載誌 Headache 2023;63:585-600 DOI:10.1111/head.14482