気象予報士として25年以上にわたり気象情報の提供に従事。頭痛ーる開始後からサービス追加に関わり、健康管理士取得後は気象と健康の両面から健康管理の普及に努める。
睡眠とはどのような役割があるかご存じでしょうか。
睡眠は脳を休息させて修復・回復させる非常に重要な機能です。
睡眠が不足すると疲労感や日中の活動の低下やさまざまな疾患の発症リスクが高まることが確認されています。
よって、人は健康な体を維持するためには十分な睡眠時間をとることが重要になります。
スマートウォッチでは睡眠時間などの睡眠データを取得することができ、ご自身の睡眠状態を確認することができます。
具体的に確認できる睡眠データや確認ポイントについてお知らせいたします。
よく睡眠時間は8時間くらい必要と言われますが、最適な睡眠時間は年齢とともに短くなり、個々人で異なります。
最適な睡眠時間を確認するために用いられる実験として、眠れても眠れなくても14時間ベッドで横になるというものがあります。
最初は10時間眠れますが、一定期間続けると、一定時間以上は眠れなくなり、その睡眠時間がその人の最適な睡眠時間と言われます。
自分の最適な睡眠時間を確認する実験を行うことはなかなか難しいですが、最適な睡眠時間の目安としては、目覚めが良く、日中に眠気を感じずに活動的に過ごせるかどうかとされています。
ご自身の理想の最適な睡眠時間がどのくらいなのか、スマートウォッチで確認してみてください。
多くの人は最適な睡眠時間から1時間40分程度短く、この足りない睡眠時間は睡眠負債と言われ、日々睡眠負債が蓄積していきます。
世界的に睡眠時間が短い日本人は、慢性的な睡眠不足によって睡眠負債がたまりやすいと言われ、週末に睡眠時間を長くしても睡眠負債を取り戻すのは容易ではない状況です。このため、体調を維持するためには、睡眠負債が蓄積しないよう日々睡眠時間を確保することが大切です。
ある研究によると、睡眠時間は夏が最も短く6時間47分、次に春、秋で、最も睡眠時間が長いのが冬の6時間58分となっています。
最も短い夏と最も長い冬の睡眠時間の差は11分間でした。
これを年齢15歳から39歳の若年層、40歳から64歳の中年層、65歳から89歳の高齢層に分けるて比較すると、若年層では睡眠時間が短いのは夏ではなく春で、季節の睡眠時間の差は4分間と小さくなっていました。
また、中年層は季節の順番は同じで、夏と冬の睡眠時間の差は10分間、高齢層も季節の順番は同じですが、夏と冬の睡眠時間の差は22分間と差が最も大きくなっていました。
よって、睡眠時間は夏が短く、冬に長くなる傾向がみられます。
人のからだは地球の自転による24時間周期に合わせて、体温や血圧、ホルモンの分泌などに密接に関わっている体内時計があり、概日リズム(サーカディアンリズム)と呼ばれます。
この概日リズムは24.2時間といわれ、毎日時間がずれてしまいますが、光を浴びることで体内時計を地球の昼夜のリズムに同調させるようにしています。
これは人の体内時計が日照時間の変化を感じ取り、暗い時間には眠気を感じ、明るくなると目覚めるように睡眠のタイミングを変えていることによります。
また、気温や湿度による変化も睡眠に影響しています。夏は暑さによって眠りにくかったり目が覚めてしまったり、冬は寒さによって目が覚めてしまったりすることがあり、季節による寝室内の環境変化も睡眠時間に影響しています。
睡眠は睡眠時間のほかに睡眠の質も大切と言われます。睡眠の質とは、量的な指標の睡眠時間ではなく、睡眠の深さに基づいた考え方です。
睡眠中は夢を見る「レム睡眠」と夢をみても記憶に残らない「ノンレム睡眠」という役割の異なる2種類の睡眠状態が交互に繰り返されます。
ノンレム睡眠は脳や体全体が休息している状態で脳や筋肉の疲労回復が行われます。
特に入眠直後に現れるノンレム睡眠は最も深い睡眠で、細胞の修復や成長ホルモンの分泌などが行われます。
スマートウォッチではノンレム睡眠が浅い睡眠と深い睡眠に分かれていますが、この合計時間がノンレム睡眠の睡眠です。
理想の睡眠はノンレム睡眠が80%でレム睡眠が20%と言われていますので、ご自身のノンレンム睡眠とレム睡眠の割合をスマートウォッチで確認してみてください。
ノンレム睡眠とレム睡眠を自分でコントロールすることはできませんが、日中の行動で変えることができると言われています。
アルコールは入眠を一時的に促進しますが、中途覚醒が増えて睡眠が浅くなり、熟睡感が得られなくなります。アルコールを飲んですぐ就寝するのではなく、就寝時間の3時間前までに飲み終わるようにしましょう。
カフェインは入眠を妨げたり、睡眠を浅くする可能性があります。カフェインの覚醒作用は3時間程度持続しますので、就寝3時間以内のカフェインの摂取は控えるのが良いでしょう。また、カフェインには利尿作用もあり、夜中に尿意で目覚める要因になります。
このため、カフェインの摂取は就寝時間の3時間以上前までにしましょう。
就寝直前に入浴すると、体温が下がり切らず眠くなりにくいため、睡眠に効果的な入浴は、就寝の90分前、38〜40℃のお湯に15分ほど浸かることとされています。寝るまでの時間が十分にない場合はシャワーで済ませるのが良いでしょう。
日中に適度な運動を行うことは、昼間の覚醒の度合いの維持や向上につながり、睡眠中の睡眠と覚醒のリズムにメリハリをつけることに役立ちます。 また、睡眠中の覚醒の減少につながり、睡眠を安定させて熟睡感の向上につながると考えられています。
このため、適度な運動を行うようにしてはいかがでしょう。
人のからだは太陽の光で体内時計のリズムがリセットされます。そして、太陽の光を浴びてから15~16時間後に眠気が出現することが確認されています。体内時計のリセットが毎朝起床後に行われないと、眠気が出現する時間に少しずつ遅れが出ることも確認されていますので、起床後に日光を見るようにしましょう。
睡眠の評価に睡眠効率があります。睡眠効率とは実際の睡眠時間とベッドにいる時間の割合のことをいいます。睡眠効率が85%以上が良い睡眠とされています。
どのような睡眠が睡眠効率85%以上になるかといいますと、ベッドに入ってから30分程度で眠りについて、目覚めてから30分程度でベッドから起き上がれた場合です。睡眠時間によって多少変わりますが、7時間ベッドにいて実際の睡眠が6時間だと約85%になります。
スマートウォッチでは睡眠効率が確認できるものもありますので、日々確認してみてください。
睡眠は健康的な生活をおくるためにとても重要で、睡眠をおろそかにすると健康上の問題や生活への支障が生じます。ご自身の体調管理としてスマートウォッチで睡眠データを確認し、健康維持につなげてはいかがでしょうか。
Seasonal changes in sleep duration and sleep problems: A prospective study in Japanese community residents
睡眠時間の季節変化と睡眠問題:日本人地域住民を対象とした前向き研究
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6472875/
厚生労働省健康局 健康づくりのための睡眠指針2014
セゾンのくらし大研究
年齢や季節によって変化?理想の睡眠時間を解説
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