ペットの体調管理

ペットと気象病 Vol.3:犬の肉球ケアしてる?よくあるトラブルやお手入れ方法

犬の肉球ケアしていますか?よくあるトラブルやお手入れ方法
暑い日が続いていて、飼い主さまの中には熱中症や肉球のやけどが怖いので散歩に行かないという方もいらっしゃいます。特に犬は裸足で歩いているので、炎天下では足が熱くないのかと心配になります。今回は犬の肉球の役割やトラブルについてお話しします。

犬の肉球の役割

犬の肉球には様々な役割があります。

①衝撃から守る

犬の肉球は直に地面に接する部位で、丈夫な角質層というかたい組織で覆われています。肉球を押すとぷよぷよしていますが、厚い弾力性のある組織と柔らかい脂肪組織でできています。このような肉球の構造は、走ったり、高いところから飛び降りるなどの動作で足にかかる衝撃をやわらげてくれます。

②地面の温度から体を守る

肉球の表面は厚くかたい角質層があるため、地面の熱さを感じにくくしています。そのため、私たちが触れると熱すぎて裸足で歩けないような地面もすたすた歩くことができます。また、雪の中でも平気で歩くことができるのは、肉球の裏の静脈が冷えても、すぐ近くを通る動脈が温めてくれるからです。

③温度調節

人は汗をかくことで体温調節をしますが、犬は舌を出してハアハアした呼吸を行うことで熱を体の外に排出します。ハアハアした呼吸だけでは体温調整が難しい場合は、肉球の間から汗をかいて体温調節を行います。

肉球のトラブル

代表的な肉球のトラブルには以下のようなものがあります。

①やけど

肉球は厚い角質層が表面を覆っているため、地面からの熱の影響を直接感じないようになっています。しかし、熱さは感じにくいのですが熱は肉球の深部にまで影響を与えてしまい、やけどをしてしまうことがあります。
普通に歩いているから大丈夫と思っていたら、数日後に肉球が剥がれ落ちてしまったということが起こる場合があります。

②肉球が硬くなる

肉球は毎日床や地面に触れる組織ですので、様々な衝撃や刺激を受けています。硬いところを歩くことが多いと、カチカチになりひび割れてしまうことがあります。
大きなひび割れができると血が出たり、痛みを伴うことが考えられます。犬が執拗に舐めている場合は要注意です。

③肉球の間が赤くなる

肉球の間が赤くなることはよく見られる症状です。痒みや痛みが原因になっていることが多いですが、嫌がり見せてくれないこともしばしばです。アレルギーや細菌などの感染、外傷などが考えられますので、頻繁に舐めている場合は早めに動物病院を受診することをお勧めします。

肉球のケアや気をつけること

肉球をよい状態に保つためにはどのようなことに気をつければ良いでしょうか?

①肉球クリーム

私たちも手のお手入れにハンドクリームを使いますが、犬の肉球のお手入れ用に肉球クリームがありますので利用してよい状態を保ってあげましょう。舐めても大丈夫な肉球クリームがありますので、愛犬に適したものを選ぶとよいですね。
たくさんつけるとべたつきますので、薄くつけてやさしくマッサージしましょう。足先を強く持たれることを嫌がることが多いです。嫌がる場合は、一足ずつやってみましょう。

②夏のお散歩は地面の温度を確認して

夏のお散歩は特に地面の温度に気をつけましょう。夏の地面は場合によっては50~60度になります。早朝や日が暮れて夜間のお散歩をお勧めしますが、飼い主さまの手の甲を地面にあてて暑いと感じる場合は無理をしない方がよいでしょう。
犬は人よりも地面に近く、地面に近くなるほど体感温度が高くなるといわれています。肉球のやけどだけでなく、地面からの照り返しで犬の腹部温度が高くなると熱中症のリスクが上がります。
お散歩注意指数を確認し、散歩に行かないという選択をとり犬の健康を守りましょう

まとめ

犬の肉球は特殊な構造をしています。私たちにとっての靴の役割を、犬の肉球はしてくれています。肉球は足の裏や関節を保護するだけでなく、様々な感触を感じ取り情報収集もしているといわれています。あまりにも暑い日には散歩を控えてもよいかもしれません。しっかり気象情報を確認して愛犬の健康を守っていきましょう。

あわせて読みたい

ペットと気象病 Vol.2:雨の日は猫の元気がない。気象病の可能性はある?
ペットと気象病 Vol.1:イヌも雨が降ると落ち込むのはなぜ?
犬や猫の気象病(第2回):熱中症やお散歩、記録の付け方
犬や猫の気象病(第1回):気象病として現れる症状や行動
ペットと飛行機移動🛬気圧の影響は!?
この記事の監修者
平松 育子/獣医師・アロマテラピーインストラクター
平松 育子/獣医師・アロマテラピーインストラクター
大手動物病院 院長
アイビー・ペットライティング代表

獣医師歴27年の経験を活かし、各方面で活躍。
得意分野は皮膚疾患で、皮膚科・内科を中心とした一般診療に従事。予防にも力を入れている。
ペットの体調管理の記事一覧