20年以上の気象予報士歴の中で放送局の気象キャスターなど様々な業務を経験。健康気象講座や防災講演の講師を務めるなど健康気象や防災のスペシャリストとしても幅広く活動中。
次第に日が短くなる晩秋~初冬にかけてのこの時期。何となく気分が乗らないことや、寝つきが悪いことはありませんか?太陽の光と心の健康には密接な関係があります。浴びる光の量が減ることで、気分が落ち込みがちになったり、不眠の原因になることがあります。
特に要注意なのは、日本海側の地域に住む皆さんです。日本海側では、晩秋になると冬型の気圧配置となって、冷たい雨や雪の降る日が増えて、日照時間が激減します。日本海側に位置する札幌の11月の日照時間は合計で100時間弱(1日平均で約3.3時間)しかなく、10月からは3割以上も一気に少なくなります。
日本海側を中心に11月以降は日ざしが大きく減少する地域が多いですが、東京をはじめ関東など一部では晩秋から冬に乾燥した晴天が増える地域もあります。このような地域でも、日射量(太陽光のパワー)は大きく減少し、昼の時間は短くなるため、太陽の光を浴びる量は全国的に少なくなっていきます。
光を受ける量が減ると、脳内で作られる神経伝達物質「セロトニン」の分泌が減少し、心のバランスが崩れやすくなります。セロトニンは人の気分を前向きに、明るく活発にするため「幸せのホルモン」とも呼ばれています。脳内でセロトニンが減ると、ちょっとしたことでイライラしやすくなったり、一日中シャキッとしない状態になったり、ネガティブな状態に陥ったりするケースがあります。
日ざしを浴びる量が減ると、体内時計を調整する働きがある脳内伝達物質「メラトニン」の分泌にも影響します。分泌量が少なくなると、寝つきが悪くなったり、不眠症や睡眠障害の原因の一つにもなります。
これらの症状が続いて、ひどい場合は『季節性感情障害(冬季うつ病)』という病気に知らず知らずになってしまう恐れもあるのです。
まず、朝起きたら出来るだけすぐカーテンを開けて、光を室内に入れましょう。「朝のプチ日光浴」で目覚めも良くなります!
曇りや雨で、外がまだ暗い日は、照明の光をうまく活用して、朝に光を浴びる量を補うことが大切です。朝のお出かけ前の準備の際に、明るい照明で食事をする、洗面所でしっかり照明をつけてメイクをするなど、光を浴びる量や時間を意識的に増やす工夫してみましょう。
晩秋から冬の太陽は斜めから差し込むため、部屋の奥まで日光が届くというメリットがあります。日中も室内にしっかり光を取り込んで生活すると、セロトニンが分泌されて、ポジティブな気分で過ごせます。
朝は出来るだけ決まった時間に起きて、適度なウォーキングなど軽い運動をすることも有効です。朝の太陽光は気分を高め、体内時計も正常化してくれますので、朝の散歩が、心の安定と夜の快眠にも繋がるのです。
1日3食しっかり食べて、リズムの良い生活習慣は、自律神経を整え、うつや不眠の予防だけでなく、頭痛対策にもつながります。
その上で、おだやかな気持ちを作るセロトニンの分泌に欠かせない栄養素トリプトファンやビタミンB6を多く含む食材も補っていくこともおススメです。
牛乳・チーズなどの乳製品、バナナ、アーモンドなどの種実類、大豆製品など
サケ・カツオ・マグロなどの魚、鶏ささみやパプリカなど
また、セロトニンは食欲を抑える作用があるため、秋に日ざし減少とともにセロトニンが減って食欲が増すのが「食欲の秋」の原因の一つになっています。セロトニンの分泌を促す太陽の光を味方につけた健康的な生活が、美味しいものが沢山ある秋の食べすぎも抑えてくれることにつながります。
どこまでも続く青空に心までスッキリ
落ち込んだ時に夕日を見て嫌なことなんて忘れた
そんな経験ありませんか?
コロナ禍で外出の機会が減り、ストレスのたまりやすい状態が続いている中、近所をお散歩するだけでも、心がスッキリする空や風景に出合えるかもしれません。
本格的に寒さが厳しくなる前の晩秋~初冬にかけては、紅葉も綺麗で季節の歩みを感じることができます。
また、この時期は、雲のデパートといえるほど様々な種類の雲が出現します。
遠くの空を眺めながらお散歩を楽しむと、身近なところに絶景が待っています!
気に入った風景はスマホで撮影してみてくださいね。
頭痛ーるの天気予報メニューでは、あなたの市区町村のピンポイント天気や日の出日の入り時間をチェックできます。さらに心の不調が発生しやすい日の参考になる「うつ指数」もご覧いただけます。