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今回は耳鼻咽喉科の神崎晶先生と増田圭奈子先生に、めまいや難聴、耳鳴りと気圧や天気の関係などについてご説明いただきました。
気圧と耳鼻咽喉科疾患、特にめまい、難聴、耳鳴りは関連があります。
一般に気圧の変化が症状の悪化に関連していることは知られており、内耳に気圧センサーがあることから内耳に影響がでる可能性はわかっておりますが、詳細はまだ解明されていません。
わたしたちの見解では、気圧が低下すると症状が出る可能性があります。気圧に加えてストレス、睡眠不足などの要因が合わさって症状の悪化に関係しています。
気圧の変化によって発症する可能性のある耳鼻咽喉科疾患の症状としては、多い順番で、めまい、耳鳴り、難聴があります。また、他の症状としては頭痛もあります。
めまいには種類がありますが、耳から発生するめまいの典型例は「回転性めまい」です。
回転性めまいは、自分は動いていないにもかかわらず、自分や周囲の天井や壁などがぐるぐる回っているような症状のめまいです。
このタイプのめまいは気圧と最も関係が強くみられます。
身体がふわふわと浮くような感覚で姿勢を保つのが難しく、まっすぐ歩けないといった症状があるのが「浮動性めまい」です。
「浮動性めまい」はストレス、疲労、睡眠不足だけで耳が悪くなくても起こりえます。
なお、めまいを繰り返していくとだんだん浮動性めまいになってくる場合もあります。
めまいの種類の「立ちくらみ」はいわゆる自律神経の影響で起こりえます。学校の朝礼などで倒れてしまったりした方は、このタイプの症状が出やすいかもしれません。こちらも睡眠が不足して自律神経が休まってないと起こります。
1~3のような症状を感じたら、まずは一度耳鼻科へ受診いただくことをおすすめします。
めまいは立っていられなくなりますし、嘔気嘔吐も出ます。他の脳神経症状を発症する場合もありますので、急いで受診いただく必要があります。
めまいといえば、脳の病気や耳の病気を思い浮かべる方が多いと思います。
医学的にはまさしく、耳か脳の病気をさすことが多いのですが、たとえば、ものがだぶってみえたりしても「めまいです」といって耳鼻科を受診される方も少なくありません。診察しますと、実際は脳や目の疾患の場合もあります。
また寝不足や不規則な生活をしている場合にふわふわする場合もあります。こちらも「めまいでは?」とおっしゃって来院されることもありますが、実際には耳の疾患ではないことがほとんどです。
しかしながら、ご自身で判断できませんので、とりあえず耳鼻科で受診することをおすすめします。
特に次のような症状には注意が必要です。
めまいや難聴 耳鳴りをきたす「メニエール病」という病気には注意が必要です。また、似た病気として、難聴が主たる症状となる「急性低音障害型感音難聴」という疾患もあります。さらに、片頭痛のある方にめまいを合併する例もあります。
「メニエール病」や「急性低音障害型感音難聴」の病名が診断されている方は、遠方で台風が発生しても、めまい、耳鳴りなどの症状が発生します。例えば、東京に在住している方でも、沖縄より以南で台風が発生すると、めまい、耳鳴り 聞こえにくい、などの症状があらわれます。
聞こえにくい、という症状以外にも耳が塞がった感じや耳のこもり感があると低い音が難聴になっている場合が多いですので耳鼻咽喉科で検査を受けましょう。
定期健診で難聴がなかった、とおっしゃる方が多いのですが、一般に健診の聴力検査は低い感じの音の1000ヘルツと高い感じの音の4000ヘルツの検査をしますが、難聴は低い感じの1000ヘルツの音よりも低い音域で聞こえにくくなります。
メニエール病や急性低音障害型感音難聴は、前述した通りこもり感が出ます。このような症状や低音難聴を中心に聞こえにくいと思ったら受診してください。
加齢変化、鼓膜に穴があいたり、耳垢がつまっても難聴になる場合があり、耳の中を診察したり、検査をしないと原因がわからない場合が多いですので受診をお願いいたします。
日本の暦では3月、9月の季節の変わり目、つまり気圧の変化が起こりやすい時に繁忙期が重なりやすく症状が出やすくなります。また、6月~7月の梅雨時期も症状が出やすくなります。
男性にも起こりますが、女性の方が多く起こると思います。特に10歳代後半から20-30歳代をピークに60歳代まで出やすくなります。
上記年代で勤務が不規則な方や介護で昼も夜もないような方は、天気(気圧)にも注意が必要です。
薬に頼らない予防として、天気や仕事はご自身では変えることができませんが、睡眠は自分でコントロールできますのでなるべく睡眠を多くとるようにしましょう。
可能ならば仕事も早めに切り上げるようにしてください。
生活習慣として睡眠をとったり休息をとることを心がけると、自律神経を休めることができ、耳の症状を改善させられます。要は緊張をほどいてリラックスすることが重要です。
ご自身が気づいていなくても体が疲れているということもあります。
例えば、熱中して夜中まで仕事をしてしまったりしても自律神経は不調になりますので、何事もやり過ぎず生活リズムを整えるようにしましょう。
お薬の飲み方についての注意点として、患者さんは繰り返すと予兆が出るそうですので、その際に内服していただきます。予兆がわからない場合は継続して内服していただきます。
市販薬の耳の薬は飲み続けても問題ないか気になる人がおられますが、市販薬の耳の薬にトラベルミン(車の酔い止め薬)がありますが、吐き気があれば飲んでいただいた方が良いです。
また、クリニックや病院で処方されるメリスロンといっためまい止めや、耳のむくみ(内リンパ水腫と呼ばれます)をとるような薬が効果的です。
耳のむくみは気圧が関係しているのか気になると思いますが、耳のむくみが気圧と関係していると考えられています。耳のむくみが取れると症状の改善につながると考えております。
発症して早いうちに治療して、再発を予防することが重要です。
何度も繰り返すと薬の効果が効きにくくなり、長期化して治らなくなってしまいます。また、難聴が進行し、めまいを繰り返すことになりかねません。
耳鼻咽喉科疾患には、予防が大切なものや、症状が出た場合には特殊な治療を受けなければならないもの、また、改善しても再発する場合が少なくないものなどもあります。
一度症状がでてしまうと、シロップやゼリーのような薬(耳のむくみをとるために利尿作用があります)やステロイドホルモンを内服する可能性があります。
また、一旦改善しても再発する場合も少なくなく、だんだん薬が効きにくくなるため予防が重要です。
メニエール病でめまいを反復してしまい、薬でも治りにくい場合は、特定の病院でしか機器を処方できませんが、耳に圧を加える「中耳加圧装置」という機器を毎日1-3年間使用することもあります(病院を通じてレンタルしていただきます)。
それでも改善しない場合や、急いで治療をしたい場合はめまいを改善させるための手術を行う場合もあります。
前述したような手段で日々生活する中で正しい習慣を意識するとともに、もしいつもと違う違和感や、症状を感じた場合には、すぐに耳鼻咽喉科を受診してください。
耳鼻咽喉科をめまいや、難聴、耳鳴りで受診すると、医師はおおよそ次のようなことを質問します。
質問されたことにスムーズに答えられるように準備しておきましょう。
また、問診の際に下記のようなことが医師に伝えられると診断や治療に役立ちます。
問診の際は症状等を医師に正確に伝えられるようにメモを残すなど準備をしておくと良いでしょう。
また、頭痛ーるは記録やメモを付けることができるので、頭痛ーるで記録を付けることがおすすめです。
何度もめまいや難聴を繰り返す方がおられます。
前兆があるかどうか、頭痛ーるで気圧を見ながら特徴をつかみ予防して、その時には睡眠をとったり、リラックスしていただくとめまいや難聴の進行が最低限におさえられるのではないかと思っております。
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<以下、頭痛ーる編集部より>
神崎先生と増田先生に、めまいや難聴、耳鳴りなどの耳鼻咽喉科疾患は気圧変化が影響していることについてや予防法、耳鼻咽喉科を受診する際の準備などについて詳しくご説明いただきました。
今後ご参考にしていただき、頭痛ーるで症状を記録していただくのも良いかと思いますが、迷ったらまずは早めに耳鼻咽喉科を受診するようにしてくださいね。