気象病の基礎知識

犬や猫の気象病(第2回):熱中症やお散歩、記録の付け方

犬や猫の気象病

犬や猫の気象病に詳しい獣医師の平松育子先生にいろいろお話しをお伺いしました。
第2回は犬や猫の熱中症やお散歩、記録の付け方などについてのインタビューです。

犬・猫にとって快適な気温(室温)

犬や猫にとって快適な気温は何℃くらいでしょうか。

(平松先生)
犬は20℃~22℃、猫は20℃~25℃くらいです。20℃以下になると寒いと感じ、丸くなったり尻尾で鼻を隠したり、布の下に隠れるとか抱っこをせがむとかがあります。

犬・猫が熱中症になりやすい気温

犬や猫が熱中症になりやすい気温は何℃くらいでしょうか。また、熱中症になりやすい犬や猫の種類で熱中症になりやすい気温に違いがあるとか、年齢によって熱中症のなりやすさに違いがみられたりしますでしょうか。

(平松先生)
犬や猫も25℃以上になると熱中症になりやすく、湿度にも注意が必要です。5月の連休くらいから注意するように伝えています。エアコンを28℃に設定するのは危険で室温は23~26℃、湿度は45~55%くらいがちょうど良いですね。湿度は重要で、室温が低めの設定でも、湿度が60%以上で熱中症になることがあります。
犬種や体格によるところはありますが、太っている子や鼻の短い短頭種は他に比べて熱中症になりやすいです。
年齢では、高齢の方が熱中症になりやすく、熱中症になったら重症になるケースが多くみられます。

散歩NGな夏の散歩

夏は朝でも気温が25℃以上になる日もありますが、25℃以上になる日は散歩などの外出は避ける方が良いのでしょうか。

(平松先生)
避けた方がいいですね。朝方の25℃はギリギリお散歩に行っても大丈夫とは思いますが、湿度が高い日や夜の25度はまだ地面が暖められていて下から熱気が上がりますので。
散歩に行ってもトイレを済ませたら早く帰った方がいいですね。

夏の散歩

【肉球やけどの恐れ】散歩NGなアスファルト温度の目安

犬の肉球は42℃でやけどの恐れがあるようですが、だいたいアスファルトの温度が何℃以上になったら散歩を避ける方が良いと思われますでしょうか。

(平松先生)
アスファルトの温度は測りにくいのですが、夏はアスファルトの表面温度が50~60℃になることがあります。飼い主がアスファルトに手を当てられないならばやけどしますので、散歩に行かなくていいです。
肉球の表皮は厚く、一番上は分厚い角質で覆われています。このため、あまり熱さを感じませんが、後から気付くと全面火傷をしているケースもありました。
皮下組織は脂肪、弾性繊、膠原線維が混在しており、柔らかくて弾力のある肉球の特徴を作っています。表皮を覆う厚い角質は、アスファルトなど地面の熱さや冷たさから体を守る役割もあります。犬の肉球内部は動脈と静脈が並走するという、特殊な血管の配置になっています。これにより、地面に足を付けたことで冷やされた静脈内の血液が、すぐそばを流れる動脈の血液に温められる構造になっています。

寒い地方の冬の犬の散歩

犬の肉球はアスファルトに雪が積もっていても大丈夫そうですが、アスファルトが凍っていたり雪が積もっているときは、散歩は避けた方がよいでしょうか。

(平松先生)
雪が積もっていても問題はありません。寒い地方の犬はそれ仕様の足になっていますので。ただし、地面が凍っている場合は足の裏を切ったり滑って膝痛めたり骨折することがありますのでやめた方がいいでしょう。西日本だと霜焼けにはならないですね。

症状の記録

症状の記録を付ける場合、その症状に気付いたら、記録を付けるのが良いでしょうか。それともその症状が少し続いた記録を付けるのが良いでしょうか。

(平松先生)
症状をそこまで繰り返さないなら日記的な感じでつけるのがいいと思います。繰り返すなら天気や気圧と繋げて記録つけるのがいいですね。
悪い時だけつけるよりいい時と悪い時の比較ができるとよく、てんかんのわんちゃんにやってもらっていたのは、問題がない日もつけることです。気温、天気、気圧、体調を全部記録して統計を取るようにします。てんかんの子とか寒くなると腹痛になる子はつけると良いと思います。特に腹痛の子は天気に左右される神経質なタイプの子のため、過敏で風の音や花火などがダメですね。体調不良の前ぶれや傾向を掴むために記録をつけてみるのがおすすめです。

てんかん

犬・猫の体調の記録の付け方

ペットの体調の記録を付ける場合、どのような点に注意してどのような内容の記録を付けるのがよいでしょうか。
例えば、下記のような視点で付けるのはいかがでしょうか。
・様子 少し元気がない 元気がない とても元気がない 
・食欲 通常の60~80%の食事量 通常の40~60%の食事量 通常の40%以下の食事量
・行動 落ち着かず、動き回る うずくまって動かない 

(平松先生)
はい。そのように付けると良いと思います。追加でうんちの状態を付けると良いですね。気圧の低下後に下痢になる犬が多くいます。猫の場合は下痢になるよりも、元気がなくなる子の方が多いと感じています。

気圧の影響を受ける小動物への対策や対応

気圧の影響を受ける小動物(ハムスターや小鳥など)への対策や対応は、犬や猫へのものと同様か、違うとしたらどのようなものがありますでしょうか。

(平松先生)
対応は犬や猫とほぼ一緒でいいと思います。
小鳥はものすごく影響を受けますね。気圧だけではなく天気も。
例えば台風前の真夜中にパニックになって大暴れして羽が折れるほどの怪我をする小鳥もいます。このような時はカゴに光と音を遮断する布をかけて、窓から離れた場所に置くという対処をすると暴れるのを多少は抑える効果があります。

平松先生への気象病に関するインタビューはいかがでしたでしょうか。
熱中症や犬の散歩には十分注意してください。また、症状の記録を付けると傾向が次第にわかり次に症状が出る前の準備や対策が取れるようになりますので、お試しください。

頭痛ーるは犬や猫の熱中症に関する予報や犬のお散歩に適する時間の情報を追加する予定です。また、ご自身とば別にペットの記録が付けられる機能の追加も予定しています。リリースまでしばらくお待ちください。

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この記事の監修者
平松育子/獣医師・アロマテラピーインストラクター
平松育子/獣医師・アロマテラピーインストラクター
大手動物病院 院長
アイビー・ペットライティング代表

獣医師歴27年の経験を活かし、各方面で活躍。
得意分野は皮膚疾患で、皮膚科・内科を中心とした一般診療に従事。予防にも力を入れている。
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