アイビー・ペットライティング代表
獣医師歴27年の経験を活かし、各方面で活躍。
得意分野は皮膚疾患で、皮膚科・内科を中心とした一般診療に従事。予防にも力を入れている。
今年は例年に比較して梅雨入りが遅れましたが、6月中旬~下旬までに全国的に梅雨入りし、おおよそ毎日どんよりとした空が広がっています。
雨が降ると「ああまた雨か」と気持ちが落ち込むことが多いですが、気持ちだけでなく体調面も落ち込むことがあります。気象病という言葉は最近になってよく耳にするようになり、お天気が悪い時の体調不良は「気象病」だからと思えるようになりました。
じつは、このようなお天気による体調の変化は人間だけでなく犬にもあります。
気象病が起こるメカニズムは徐々に明らかになってきています。
気圧や温度の急激な変化が起きると、耳の奥の「内耳」というセンサーが変化をキャッチし、脳から自律神経を経由して、蓄積していた不調や疲労が症状として顕著に表れます。女性の場合は月経や更年期などなど女性ホルモンのバランスに影響されるので、より大変になります。
犬の気象病のメカニズムは人とほぼ同じで、湿気が増えることで体の中の水分量も増えて体がむくみ、気圧が下がると体内の圧も下がります。梅雨や台風、雪が降る時などに特に症状が顕著になることが多いです。
人は体調の悪さを言葉で伝えることができますが、犬の場合は丸くうずくまって動かなかったり、食欲不振などと言った気象病以外でも起こるような症状がみられます。
特に犬では、脳神経系や循環器系の持病を持っている子は注意が必要と言われています。
「てんかん」や「水頭症」、「脊髄空洞症」、「心疾患」等の持病は、気圧の変化との関係に特に注意が必要です。このような病気はチワワやキャバリアなどに起こりやすいのですが、ほかの犬種でも起こりうるので普段から体調をよく見ておき、いつもと様子が違う場合は記録をとっておくと後々役に立つでしょう。
発作を起こしやすいタイミングをそれぞれ把握することが大事で、気圧が下がる過程、気圧が下がりきったときなど、それぞれタイミングに違いがあります。
愛犬のつらさを少しでも和らげてあげるためには、やはり様子の観察を丁寧に行うことにあります。
その上で、獣医師との連携プレーができれば安心ですね。
犬にも人間と同様に気象病があることがわかってきました。人のように自分の体調の変化を言葉にしてくれることはないので、飼い主さんがよく様子を見て記録をとることが大切になってきます。
自律神経を整えることも気象病の症状を和らげることに役立つ可能性があります。ドッグマッサージやツボ押しなども愛犬が嫌がらなければやってみてもよいかもしれませんね。