アイビー・ペットライティング代表
獣医師歴27年の経験を活かし、各方面で活躍。
得意分野は皮膚疾患で、皮膚科・内科を中心とした一般診療に従事。予防にも力を入れている。
日本の台風シーズンは7~10月と言われています。発生する台風の数は少ない傾向にありますが、被害は大きく私たちの生活にとって脅威であることは変わりありません。わたしたちよりはるかに小さい猫たちに対する台風の影響にはどのようなものがあるのでしょうか?
一般的に平均風速が強くなるにつれ様々な被害が起こります。平均風速別にみていきましょう。
・15m/s以上:歩行者が転倒したり、ドアや扉に手や指を挟まれるなどの被害が発生
・15~20m/s: 高速道路での車の運転に支障が出始める
・20~25m/s:風に向かって歩くことができず、木が倒れる
・30m/s以上:家が倒れることがある
このような状態になる中、人よりもはるかに小さな猫が外に出てしまうと、最悪吹き飛ばされてしまい命にかかわる可能性もあります。絶対に外に出てしまわないように注意が必要です。
台風が近づくにつれ、ガタガタと窓や雨戸が揺れる音が大きくなります。さらに台風が接近すると風の音や何かがぶつかるような音も加わり、台風だと分かっている私たちもビクッとしますし、恐怖を覚えます。
聞きなれない音の理由がわからない猫たちならなおさら怖がります。
パニックになって隠れて出てこなくなったり、暴れてケガをしてしまうかもしれません。
猫にもよりますが、台風が行き過ぎても、怖がって隠れた場所からなかなか出てこない、食欲がない、排泄できず我慢しているなど、台風の恐怖が尾を引く場合もあります。
台風の時に起こった音に対して敏感になってしまうと、少しの物音にも過剰に反応して逃げたり、ブルブル震えてしまうこともあります。
猫に対する台風の影響はパニックや食欲不振だけではありません。
腎臓に対する影響も起こる可能性があります。
台風の時には気圧が下がっています。低気圧になると私たちの周りの気圧が下がりますので、血管が膨張して血液の流れが滞ります。
血液の流れが悪くなると、腎臓への影響が大きくなります。
台風によって気圧が変化すると、内耳の気圧に対するセンサーが過剰反応し、自律神経の働きに影響が起こります。自律神経はからだのバランスをとるために重要な働きをしています。そのため、元気がなくなったり、食欲がなくなったりすることがあります。
人は自分の状態を伝えることができますが、猫は私たちに伝えることが難しいです。そのため、気圧の変化が起こっている時にじっとうずくまり丸くなっている場合はもしかしたら気象病かなと疑ってみてもよいかもしれません。
まず、絶対に外に飛び出さないように扉や窓のカギをしっかりかけましょう。
猫は恐怖を感じると逃げる傾向があります。
また、怖い場合は狭い場所に身を隠している方が落ち着くようです。おびえ始めたらキャリーに入ってもらい、バスタオルやブランケットをキャリーの上からかけてあげましょう。
パニックを起こして走り回ると、飼い主さんが捕まえようとしても捕まえることが難しいことが多いです。早めにキャリ―入ってもらい、やさしく声をかけてあげてください。
ケガ、食欲不振、体調不良など台風は猫に様々な影響を与えます。もしかしたら、一緒に逃げないといけない場合もあるかもしれません。いざという時に慌てなくてもよいように、台風が接近している時には天気予報をしっかりチェックして、猫のお薬やフードなど備えることが大切です。