20年以上の気象予報士歴の中で放送局の気象キャスターなど様々な業務を経験。健康気象講座や防災講演の講師を務めるなど健康気象や防災のスペシャリストとしても幅広く活動中。
■冬の空気はとてもカラカラ
■冬の低温・乾燥 体への影響は
└感染症リスクの高まり
└肌荒れ・カサつき
└眼の乾燥(ドライアイ)
└静電気
■手軽にできる 湿度アップ法
■頭痛―るアプリで湿度と乾燥指数をチェック
月別の平均湿度のデータをみると、東京では12月に50%台まで低下し、太平洋側の地域を中心に冬は湿度が下がります。また、晴れた日には一日の最小湿度では30%以下まで下がる日も多くなり、空気の乾燥により、喉がイガイガしたり、お肌がカサつくなど様々な影響を受けます。
空気には気温が低いほど、含むことができる水分量が少なくなるという性質があります。気温が低い冬は、一般的な湿度(相対湿度)に加えて気温の影響を加味した空気中の水分量(絶対湿度) をみると、乾燥状態がよりはっきりとわかります。東京の空気中の水分量の月別データをみると、高温多湿な7月・8月は1立方メートルあたり18グラム以上あるのに対し、低温・乾燥の1月・2月は1立方メートルあたり3グラム台です。つまり、空気中に含まれる冬の水分量は、夏の6分の1程度しかないのです。
冬の低温と乾燥によって、感染症リスクが高くなったり、肌荒れや眼の乾き、静電気トラブルなど体には様々な影響があり、火災にも気を付けなければいけません。それぞれのポイントを確認してみましょう。
インフルエンザウィルスは、『低温』で活性化し、『乾燥』により拡散力が強まるため、日本では12月~3月にかけての冬季に毎年流行する季節病の一つです。乾燥によって、喉の粘膜が傷んだ状態だとウィルスのバリア機能が弱まることになるで、喉を乾燥させないことが重要です。口呼吸だと喉の粘膜がより乾燥しやすくなりますので、鼻呼吸を意識すると鼻の中の湿り気で喉を傷めにくくなります。インフルエンザウィルスは、室内の湿度を50%以上に保てば、激減するというデータもありますし、空気が乾燥すると、喉の粘膜のカラダを守る働きも弱まりますので、室内の加湿が大切です。
人間の健康に快適な湿度環境は50%前後です。40%を下回ると、喉などの粘膜のバリア機能が低下しやすくなり、体の様々な部分に強い乾燥を感じる人が増加する傾向があります。お肌だけでなく、髪の毛、指先なども保湿ケアが必要になります。洗顔や手洗いの際に、お湯の温度が高いと、皮脂が奪われて肌荒れの原因となることもありますので、ぬるま湯がオススメです。お顔や手の乾燥が気になる方は低温のお湯を試してみてください。
空気が乾燥すると、眼の表面を潤している涙が蒸発しやすくなり、室内の暖房による乾燥も加わり、冬はドライアイが悪化しやすい季節。冬にドライアイが悪化しないように、点眼薬が乾きを予防したり、眼の周りを温めるホットアイケアもおすすめです。加湿器の使用はもちろん、暖房器具の風が直接、眼に当たらないようにすることも大切です。
ドアノブなどに触れた瞬間にバチッとくる静電気。静電気がどうして冬だけ気になるかというと、やはり空気が乾燥が原因です。空気にある程度の水分があれば、その水分を通して自然に放電されて、電気がたまりにくくなりますが、冬は空気中の水分が少なく乾燥しているので、静電気は体にたまったままになりやすいのです。また、静電気は、ものをこすり合わせることでも起こるので、 重ね着をする冬は静電気が発生しやすくなります。お肌が乾燥すると静電気をためこみやすい体質になってしまうので、お風呂上りや手洗い後にはクリームを塗って、保湿をするのも静電気を防ぐ効果的です。
乾燥対策の第一歩は室内の加湿からということで、手軽にできる湿度をアップさせる方法を5つご紹介します。
☑加湿器を使う
☑洗濯物の部屋干し
☑濡れたタオルを干す
☑観葉植物に水やりをする
☑鍋料理を食卓でする
特に一番のオススメは、「鍋物など蒸気が室内に出る料理で食卓を囲む」ことです。栄養たっぷりの鍋料理で美味しく、室温も上がって体も温まりますし、室内の湿度を測定すると、短時間で湿度が10%~20%くらい上昇する効果が期待できます!
詳しい湿度予想は頭痛―るアプリの天気予報メニューから1時間毎の時系列でチェックできます。また、健康天気指数の乾燥指数やインフルエンザ指数も日頃の体調管理にお役立てください。頭痛ーるアプリは頭痛対策以外にも使えるコンテンツが盛りだくさんですから、日々の健康的でアクティブな生活のためにぜひご活用ください。