気象予報士として25年以上にわたり気象情報の提供に従事。頭痛ーる開始後からサービス追加に関わり、健康管理士取得後は気象と健康の両面から健康管理の普及に努める。
9月は夏の暑さから秋へと向かう季節が切り替わる時期です。朝の気温が次第に下がり、朝晩と日中の気温差が大きく、体への負担が大きくなりやすい季節です。また、大型の台風が日本付近に接近・上陸し、暴風や大雨による大きな被害をもたらすことがあります。後半になると日本付近に秋雨前線が停滞し、曇りや雨の天気のぐずつく日が続き、急に肌寒くなることもあり、気温の変動に注意が必要です。
9月の天候には下記の3つの特徴があります。
真夏の夏の暑さをもたらしていた太平洋高気圧は8月後半になると次第に勢力が弱まり、8月23日頃の処暑になると暑さが落ち着いてきます。二十四節季の処暑は8月23日頃から9月6日頃で厳しい残暑が次第に和らぎ、朝夕は涼しさも感じられる頃です。
ただ、東・西日本では日中に汗ばむ陽気が現れる年もあり、ぶり返した暑さによる熱中症にも注意が必要です。
今年は海面水温が平年に比べてかなり高い影響で、南から暖かい空気が流れ込み太平洋高気圧の勢力が衰えず、残暑が続いていますので、より暑さによる体調不良に注意が必要です。
この時期は台風の接近がない場合、気圧の変化は比較的小さい日が多く、体調への影響が比較的小さい時期です。
なお、2017年~2019年の3年間では台風が接近する年もあり、気圧の低下がみられる日もありました。
移動性高気圧に覆われて雲のない夜に放射冷却によって大気が冷えると、空気中の水分が草花や木に朝露として現れ始めるようになります。朝の光に白く輝く露になることから白露と名付けられました。
朝晩に気温が下がると秋の気配が感じられるようになります。
この時期は台風が接近しない場合は高気圧に覆われやすいものの、周期的に低気圧が通過して気圧が低下します。このため、体調へ影響する日が現れるようになります。
秋分は昼の長さと夜の長さが同じになる日です。お彼岸は秋分の前後7日間で、秋分の3日前が「彼岸の入り」、秋分の3日後が「彼岸明け」となります。
暑さ寒さも彼岸までと言われるように、最高気温が次第に25℃を下回るようになります。
移動性高気圧に覆われ晴れる日もありますが、日本付近に秋雨前線と呼ばれる前線が停滞し、秋の長雨が現れます。秋雨前線が停滞している時に南海上で台風が発生し、暖かく湿った空気を流れ込むと、秋雨前線の活動が活発になり大雨が降ることがあります。
本州の南海上で秋雨前線が停滞している時は、気圧の大きな低下はあまりなく、体調への直接的な影響はありませんが、梅雨時期と同じように日差しが少なく、雨が降りやすい影響で体調を崩すことがあります。秋雨前線が現れた場合は、体調を整えるように心がけましょう。
9月は8月に続き台風の発生数が多く、平年の発生数は4.8個、接近数は2.9個、上陸数は0.8個なっています。過去10年間の9月の接近数の平均は3.5個、上陸数は1.3個で、近年は接近数・上陸数とも増えています。昨年(2019年)は接近数が5個で過去30年で最多となりました。
9月以降に日本付近に接近する台風を秋台風と呼びます。太平洋高気圧が勢力を弱め、南方海上に発生した台風が太平洋高気圧のふちを時計回りで放物線を描いて日本列島に接近し、東よりに向きを変えると速度が増し足早に通り過ぎる台風が多いのが特徴です。
また、9月に上陸する台風は勢力が強く、災害をもたらすことが多いのも特徴です。
このため、台風が発生したら台風の進路予想を確認し、いつ頃台風の影響を受ける恐れがあるかを都度確認するようにしてください。
下記の図は東京の2017年~2019年の9月の気圧の状況です。赤マークが気圧の変動が大きく特に注意が必要で、次いで黄色、黄緑、水色で、水色は体調への影響が小さかった日を示しています。
年によってややばらつきはありますが、前半は水色や黄緑の比較的体調への影響が少ない日が多くみられます。一方、後半は以降は赤や黄色の体調への影響が大きい日が短い周期で現れるようになり、体調を崩しやすい傾向がわかります。
9月は最高気温が次第に下がりますが、秋分の頃までは暑さがぶり返し30℃以上の真夏日が現れる場合があります。朝晩は涼しくなりますが、日中の気温が上昇すると1日の気温差が大きくなり、体が気温の変化に対応できず、疲労感を感じて、体調を崩しがちになります。大きな寒暖差により自律神経の働きに乱れが生じ、食欲不振や下痢・便秘、慢性疲労などの体の不調が現れます。
台風が接近する際に体調の悪化を防ぐことは難しいですが、悪化の程度を少しでも抑えられるようにすることが大切です。
台風の発生が予想された際は自律神経のバランスを保つために下記を心がけてください。
9月の天候の特徴を知って、そのタイミングで体調の悪化をなるべく減らせられるような行動で体調管理を行ってください。