20年以上の気象予報士歴の中で放送局の気象キャスターなど様々な業務を経験。健康気象講座や防災講演の講師を務めるなど健康気象や防災のスペシャリストとしても幅広く活動中。
秋は、まるで梅雨のように雨の多くなる期間があり、体の不調に要注意なシーズンです。
秋の不調の原因となる「秋雨前線」については、頭痛ーる公式Tiktok動画でも気象予報士による解説を公開中です!
秋の前半は、北海道など北日本から雨の多い時期を迎えます。秋のはじめ頃に雨が多くなるのは「秋雨前線」の影響を受ける場合が多いからです。秋雨前線とは、夏の暑い空気と北から入り始める秋の涼しい空気がぶつかり合うところにできる停滞前線のことです。性質の異なる夏の空気と秋の空気がぶつかる前線付近は、上昇気流が発生し、雨雲が発生しやすくなります。
地域別に雨の多い月を見ると、秋雨前線の影響を秋の始まりとともに影響を受ける札幌は9月に年間の雨のピークとなります。東京など関東地方では、札幌など北日本よりも少し遅れて9月半ば~10月をピークにもっとも雨の多い時期になります。これは秋雨前線が南下していく時期が北海道よりも2週間から1か月ほど遅いためです。一方、西日本の大阪では、梅雨時期の6月から7月に一年のピークとなり、那覇では、台風が接近するケースが多い9月と梅雨末期の6月に雨が多い傾向があります。地域別に雨の多い時期が異なるのも、南北に長い島国である日本の特徴ですが、多くの地域で9月は雨の多い時期になります。
秋雨前線の南側には、夏の暑い空気があるため、前線よりも南の地域では、残暑が続くことがあります。一方、秋雨前線が南下して、前線よりも北の領域に入ると、涼しい秋の空気に包まれ、朝晩に冷える日も多くなっていきます。北海道から秋本番の空気に入れ替わるとともに、秋雨前線は徐々に南下していきます。このように秋雨前線のできる南北の位置を見ることで、季節の進み具合をチェックすることができます。秋雨前線が停滞する頃になると、赤トンボをよく見かけるようになりますし、秋雨前線の北側の秋の涼しく乾いた空気の高気圧に覆われる日が増えると、北日本から紅葉も始まっていくことになります。
秋雨シーズン到来を告げる赤とんぼ(森山気象予報士 撮影)
秋雨前線の南下後に色付く紅葉(森山気象予報士 撮影)
秋雨前線に台風が加わる時は、厳しすぎる残暑や非常に激しい雨など極端な気象現象が起こりやすい特徴があります。2018年10月3日に新潟県三条市で10月の国内歴代最高気温36.0℃を記録しました。この日の天気図を見ると、秋雨前線が東北地方に停滞し、台風が朝鮮半島付近に進んだ際に、季節外れの熱帯並みの空気が流れ込み、フェーン現象も加わって、北陸を中心に記録的な高温となりました。また、2019年10月11日~12日にかけては、秋雨前線と台風によって、東日本~東北では死者が100人を超える甚大な大雨災害が発生しました。箱根町では10月12日に一日の降水量で日本記録を更新する900㎜以上の雨が一気に降りました。「秋雨前線+台風」の気圧配置となった場合は、季節外れの猛暑や記録的な大雨に要注意なのです。
秋雨シーズンは、雨やジメジメした空気の影響で、まるで梅雨時期のように「体がだるい」「何だか憂うつ」という状態になることがあります。秋雨前線の影響で、雨の日や気圧の目まぐるしい変化が起きることで、体の不調が起こりやすくなる時期でもあるのです。
秋雨前線に加えて、台風が発生しているときは、さらに気圧の大きな変化や極端な気象現象によって、頭痛やめまいなどの体の調子を崩しやすいので気を付ける必要があります。そんな秋雨シーズンは、気象病に要注意です。気象病の症状には、頭痛以外にも、だるさ(倦怠感)や気分の落ち込みなど様々なものがあります。
気圧予報で体調管理をサポートするアプリ頭痛ーるを使えば、気象病を予防したり、事前に対策をとることができるので、秋雨シーズンがぐっと過ごしやすくなります。
まずは、あなたは雨や天気の変化に弱いかどうか?気象病の簡単セルフチェックをやってみましょう!
また頭痛ーるコラムでは低気圧、気圧の変化による頭痛、体調不良の予防・対処法もご紹介しています。