20年以上の気象予報士歴の中で放送局の気象キャスターなど様々な業務を経験。健康気象講座や防災講演の講師を務めるなど健康気象や防災のスペシャリストとしても幅広く活動中。
大切な家族でもあるペットとの旅行・移住で飛行機移動が心配という方も多いのではないでしょうか。実際に飛行機の移動に伴って、体調を崩してしまうペットもいるため、慎重に計画を立てることをおすすめします。まずは、飛行機移動の際の気圧変化や気温環境について確認しましょう。
飛行機の離着陸時には急激な気圧の変化があります。気圧とは、眼に見えない空気の重さのことで、地上からはるか上空までたくさんの空気の重さを地上では受けて私たちは生活をしています。飛行機で急激に高度が上がると、空気の重さである気圧は急激に低下するため、耳が痛くなったり、頭痛など不調が現れることがあります。
体の中でも気圧変化に一番敏感なのが耳で、人間だけでなくペットも耳の機能などに影響を受ける場合があります。飛行機内は、気圧の変化を実際の外気圧よりも小さくなるようにコントロールしていますが、激しい気圧変化を避けられない乗り物です。
地上気圧で1000hPa以上ある状態から、離陸後20分後くらいまでに上空1万メートルくらいの大気が安定しているところまで上昇すると、上空の機内の気圧は765hPa前後まで200hPa以上も急低下します。また、着陸時に高度を下げていく時は、反対に765hPa前後の上空から数十分程度で1000hPa以上もある地上へと一気に移動します。このような離着陸時の激しすぎる気圧変化は、日常生活ではほとんど起こらないため、人間もペットも主に耳の機能に影響が出たり、心身の不調を引き起こすことがあるので十分な注意が必要です。
ペットを飛行機搭乗時に預ける貨物室内は、基本的に客室内とほぼ同じ温度・湿度となるような空調環境になっている場合が多いです。ただ、機内貨物室への移動の乗り降りの際は屋外環境にさらされる時間があるため、夏の暑さ対策、冬の寒さ対策はある程度必要です。
特に夏の飛行機移動は、熱中症による死亡事例も度々発生しています。暑すぎる日中の時間帯の移動は避けて、ペットへの負担が少ない朝や夕方以降の涼しい時間帯に搭乗する選択も大切です。また、人間と同様に預ける前には、しっかりと水分補給をさせてあげましょう。特に暑さに弱い子犬やシニア犬、フレンチブルドッグなどの短頭犬種は熱中症リスクが高いといわれていますので、無理のない計画を立てるようにしましょう。
一方、冬は移動先によっては、乗り降りの際にペット達が氷点下の外気温にさらされる可能性があります。寒さに弱いペットや寒さ慣れしていない場合は気を付けましょう。
このように飛行機による移動は激しい気圧変化や、乗り降りの際の温度環境などによって、真っ暗になる貨物室に入るペット達には人間以上の大きなストレスがかかる場合があります。ペットと一緒の飛行機旅を予定されている場合、事前に気圧変化やゲージの中に入れての移動に慣れさせるトレーニングをしておくこともおすすめします。
地上付近では高度が10メートル上がる毎に気圧は1hPa低下します。例えば、ペットをゲージに入れて、高い峠道をドライブしてみるのも短時間の気圧変化を経験させることが出来ます。その他にも高層階まで登ることができるペット同伴可能なエレベーターに一緒に乗ることでも短時間の気圧変化が起こります。このような経験を通じて、ペットの状態を確認し、飛行機に預けた際にどのようにしたら落ち着いていられるかを想定してみることも大切です。
気圧や天気の変化の影響を受けやすいかどうかは、人間と同様にペットによっても個体差があります。すべてのペットが気圧・天気で体調を崩してしまう訳ではありませんが、頭痛ーるでペットが体調を崩す日をメモ機能などで記録してみると変化に敏感なことがわかる場合があります。
頭痛ーるの気圧グラフで気圧のアップダウンの大きいタイミングやその前後に体調を崩しやすいペットの場合、飛行機のような激しい気圧変化は控えてあげた方が良いかもしれません。飼い主さんによっては、一部飛行機に乗せて、体調を崩したことがある経験から、時間がかかってもフェリーや車での移動を選択していることもあるようです。人間もペットも旅の前には体調を整えて、旅行中の体調管理に頭痛ーるをご活用ください。
また頭痛ーるコラムではペットの病気と気圧の関係や対策についてもご紹介しています。
【気圧や天気の変化によるペットの不調と対策について】
【ペットの神経の病気と気圧の関係】