気象予報士として25年以上にわたり気象情報の提供に従事。頭痛ーる開始後からサービス追加に関わり、健康管理士取得後は気象と健康の両面から健康管理の普及に努める。
■11月の天候の特徴
■11月前半と後半からみる天候の特徴
・立冬(11月7日頃~11月21日頃)
・小雪(11月22日頃~12月6日頃)
・11月の気圧変化の傾向
▼11月に現れやすい気象病はこちら▼
11月の天候には下記の特徴があります。
11月は日本付近に接近する低気圧の上空に強い寒気が流れ込むことが多くみられます。この上空の強い寒気の影響によって低気圧は急速に発達しながら日本付近を通過し、日本の東海上に進んで更に発達します。
また、日本の東海上で低気圧が発達した際に、大陸にも寒気が流れ込むと大陸で高気圧の勢力が強まるため東海上の低気圧と大陸の高気圧の気圧差が大きく、日本付近は等圧線の間隔が狭まった強い冬型の気圧配置の状態となり、北よりの風が強く吹きます。
この北よりの強風を木枯らしと呼び、寒気が流れ込みやすい年は何回も木枯らしが現れます。
日本付近が冬型の気圧配置になっている状態は、日本の上空に寒気が流れ込んでいることを示しています。流れ込んだ寒気によって日本海で発生した雲が発達し、北西の風に流されて日本海沿岸に接近します。日本海沿岸に接近すると、一時的に雨が降ったり止んだりするようになります。この雨を時雨と呼び、日本海側で11月に多くみられます。なお、季節が進み気温が下がると、雨から雪に変わります。
冬型の気圧配置をもたらした強い寒気が日本の東方海上に進んで寒気が弱まると日本付近の等圧線の間隔が広がるようになり、この状態を冬型の気圧配置がゆるむともいいます。また、このあとに大陸の高気圧が移動性高気圧となって東に進み日本付近を覆うことがあります。高気圧にゆるやかに覆われると冬型の気圧配置の時の寒さが一転して春のような暖かく穏やかな晴天になることから、小春日和と呼ばれます。
寒気の流入が強まったり、次々と寒気が流れ込むようになると冬型の気圧配置が続き、小春日和は現れなくなり、季節は冬へ向かいます。
立冬は暦の上で冬の気配が始まることを意味しています。季節としては晩秋で、朝の冷え込みが強まり紅葉の色づきが進む時期です。
高気圧に広く覆われて秋晴れとなる日もありますが、日本付近を周期的に通過する低気圧の影響で周期的に天気が崩れます。また、低気圧の上空に強い寒気を伴った低気圧が日本の東海上に進むと冬型の気圧配置が強まった状態となり、木枯らしが吹くことがあります。
関東地方と近畿地方でその年の一番最初の木枯らしが吹いた日を木枯らし1号と呼び、気象庁から発表されています。なお、関東地方と近畿地方以外の地方では木枯らし1号の発表はありません。
日本付近の上空に強い寒気が流れ込むと日本海側では一時的に雲が広がり雨が降ったり止んだりする時雨(しぐれが)が現れます。
寒気の強さや流れ込み方は年によって違いがみられ、低気圧の通過が少ない年は高気圧に覆われる日が多く、頭痛などの気象病による体調へ影響する日が少なくなりますが、低気圧が短い周期で通過する年は頭痛などの気象病が発生しやすい年もあります。
小雪(しょうせつ)は、冷え込みが厳しくなり北国で小雪がちらつき始めるころという意味です。
上空に寒気が流れ込みやすい年は、低気圧が日本付近を発達しながら通過した後に冬型の気圧配置が現れて続きやすくなります。一方、上空に強い寒気が流れ込みにくい年は、低気圧があまり発達せず、冬型の気圧配置が現れにくく、現れても一時的となります。
移動性高気圧に緩やかに覆われた、厳しい寒さの前の穏やかで暖かい晴天を小春日和(こはるびより)と言います。
日本付近の上空に周期的に強い寒気が次々と流れ込む年は低気圧が日本付近や日本の東海上で発達しやすくなります。低気圧の通過する時に気圧が大きく低下し頭痛等の気象病が現れますが、冬型の気圧配置が続きやすく、次の低気圧が接近するまでの間が長くなるため、気圧が大きく低下する回数が少なく、頭痛等の気象病が現れやすい日も少なくなります。
一方、日本付近の上空に寒気が流れ込まず冬型の気圧配置が続かない年は、低気圧が短い周期で数多く通過するため、頭痛などの気象病が現れやすくなりますので注意が必要です。十分な睡眠やリラックスなどで体調を整えて頭痛などの気象病が現われないように心がけましょう。
下記の図は東京の2020年~2023年の11月の気圧の状況です。赤マークは気圧の変動が大きく特に注意が必要で、次いで黄色、黄緑です。また、紫色は気圧の上昇で注意が必要です。水色は体調への影響が小さかった日を示しています。
周期的に高気圧に覆われた日はありましたが、高気圧と低気圧の動きが早く、短い周囲で気圧が大きく変動したため、気象病の起こりやすい日が多くなりました。
前半は低気圧の通過で気圧の低下した日がありましたが、高気圧に覆われて比較的安定した日が続いた時期もありました。後半は低気圧と高気圧が周期的に通過し、気圧の変動の大きい日が続き、気象病の起こりやすい日が多くなりました。
上旬は大きな気圧の低下は一時的であったものの、高気圧の移動により気圧が変動した日が多くなりました。中旬は小さい低気圧が周期的に通過し、周期的に気圧がみられました。下旬は低気圧がやや発達しながら通過したため、周期的に気圧が大きく低下し、気象病が起こりやすい日が多くなりました。
月の初めは高気圧に覆われて気圧変化の小さい日が続きましたが、上旬後半以降は低気圧が周期的に通過しました。また、低気圧の通過後は高気圧に覆われて冬型の気圧配置になるなど、気圧変化の大きい日が続き、気象病が起こりやすい日が多くなりました。
高気圧に覆われて比較的気圧の変動が小さい時期が現れた年もありましたが、高気圧と低気圧が短い周期で通過し、低気圧による気圧の低下で頭痛などの気象病が発生しやすい日が多く現れた年が多くなりました。頭痛ーるで日々の気圧変化の予想を確認し、頭痛などの気象病の体調管理を行うようにしてください。