11月の気象病~季節性うつ病や寒暖差頭痛に注意!~
11月に現れやすい気象病と体調管理
ノロウイルス
食中毒と診断される多くが、高温多湿の夏から秋のに多い「細菌性食中毒」と空気が乾燥する秋から冬に多い「ウイルス性食中毒」です。
細菌性食中毒は、細菌などの微生物が原因で発症する食中毒で、患者数は食中毒の30~40%を占めています。「ウイルス性食中毒」はウイルスが蓄積している食品の摂取や人の手からウイルスが付着した食器から感染する食中毒で、患者数は食中毒の50%を占め、最も多く、ウイルスのほとんどがノロウイルスです。
ノロウイルスは11月から患者数が増加し、1月をピークに3月まで多い時期が続きます。
ノロウイルスは患者の便やおう吐物の飛沫などによる人からの感染と感染した人が調理して汚染された食品や加熱不十分な二枚貝からの感染があります。
ノロウイルスの予防
- 食事前、調理前後の十分な手洗い
- 家庭内や集団施設でノロウイルスが発生した場合の二次感染を防ぐ消毒・清掃・換気
- 食品の十分な加熱と調理器具の消毒
この時期からは、十分な手洗いと食品の十分な加熱や消毒により、ノロウイルスの予防を心がけるようにしましょう。
季節性うつ病
季節性うつ病は秋から冬にかけてうつ症状が現れ、3月頃になるとよくなるというパターンを繰り返す病気です。下記の症状がみられます。
- 睡眠時間が長くなり、日中でも眠気がある
- 食欲が旺盛で、甘いものや炭水化物が欲しくなる
- 気分が落ち込み、無気力となる
- 集中力が低下し、日常の家事・仕事がうまく処理できない
季節性うつ病の原因は、日照時間が減少することにより脳内のセロトニンの合成速度が落ちて、セロトニン神経機能が低下することで発症しやすくなります。
季節性うつ病を緩和するための対処法
-
- バランスの良い食事
セロトニンの不足が脳の働きに不調をもたらすことから、セロトニン生成に必要なタンパク質が含まれた肉、魚、大豆やビタミン、ミネラルなどの栄養素を十分の摂取するようにしましょう。
-
- 適度な運動
ウォーキングなどの適度な運動を習慣化することで、落ち込みなどの心身にもたらされる症状を改善する効果が期待できます。特に太陽の光を浴びながらの運動がおすすめです。
-
- 感情を話せる人を見つける
一人で悩んでいると気持ちの落ち込みが余計に悪化してしまうため、誰かに話をしてみるようにしましょう。
-
- 自宅や仕事場を明るくする
自然の光に多く当たることが理想ですが、自宅や仕事場の照明を明るいものに取り替えることも効果的です。
-
- やることリストの作成
実行が可能なやることリストを優先順位を付けて作成し、その通りに実行することで気持ちの落ち込みをや憂鬱感を緩和することができます。
寒暖差による頭痛
暖かい部屋から冷え込んだ外に出ると体は急激な気温の低下を受けます。寒さを感じると体の熱が逃げないように、自律神経の交感神経が盛んに活動を始めます。常に寒暖差の激しい環境に身を置いていると、交感神経がこの環境に適応しようと反応するため、自律神経が日疲弊し、自律神経の乱れにつながり、頭痛などの体調不良を起こしやすくなります。前日より気温差が5℃以上あると体に影響が出やすくなり、症状も引き起こされやすくなると言われています。
自宅やオフィスの室内と室外の気温差が大きい場合や電車やバスの車内と外との気温差の大きい環境を行き来すると、自律神経が疲弊し、自律神経が乱れ、頭痛などの体調不良が起こりやすくなります。この状態は寒暖差疲労と呼ばれています。
寒暖差疲労を溜めないための対策
-
- 生活習慣を整える
自律神経の乱れを起こさないためには規則正しい生活が必要で、3食バランスのとれた食事を摂取することが重要です。なるべく冷たいものは避け、温かいものを食べるようにしましょう。豚肉や大豆などのビタミンB1が含まれる食材は疲労回復に効果的です。
また、睡眠不足の状態では自律神経が整えられないため、睡眠を十分とるようにしてください。
-
- 軽い運動
ストレッチや散歩などの軽い運動で、体を動かすようにしましょう。体を動かすことで睡眠の質を上げたり、血行を良くして胃腸の働きを改善させる効果や血液の循環を良くするため寒暖差疲労を改善する効果が期待できます。
-
- 体を温める
体を温めるのに最も効果的なのが入浴です。入浴は自律神経を整える効果や睡眠障害の改善にもつながると考えられています。外出する際は手首・足首・首を保温することで体を温める効果が得られるといわれています。
11月の気象病のポイントを理解して、体調管理を行うようにしてください。
【参考文献】
成人病予報対策研究会 ほすぴ 気象と健康~秋の健康~
厚生労働省 ノロウイルスに関するQ&A
日本生活習慣病予防協会ニュース(2016年10月13日)
医療法人社団エムズ コラム(2020.05.19)
健康のいずみ 第537号(2018年9月5日)