みなさんの記録を活用した研究論文がアメリカ頭痛学会に認められました


みなさんが頭痛ーるアプリに記録している痛みの記録データと気象との関係をより明らかにするために日本頭痛学会に所属する4名の先生にご協力をいただき、2021年に共同研究チームを発足して研究を開始しました。
この研究結果をまとめた論文がアメリカ頭痛学会に認められ、2023年2月28日に公式医学雑誌「Headache」に掲載されました。

みなさんが続けて行ってくださっている頭痛の記録が貴重な研究データとなり、論文にまとめることができました。記録を続けていただいているみなさんに大変感謝しています。

ここでは、研究開始から研究論文が掲載されるまでをご紹介いたします。

共同研究チームのテーマとメンバー

研究テーマ 気象が頭痛の発生に及ぼす影響について

共同研究チーム
 勝木将人先生(糸魚川総合病院 脳神経外科医長)
 辰元宗人先生(獨協医科大学病院 頭痛センター/医療安全推進センター教授)
 木元一仁先生(国立病院機構七尾病院 神経内科医長)
 島津智一先生(埼玉精神神経センター 脳神経内科 医学博士)
 頭痛ーる気象予報士メンバー

共同研究を始めた理由

片頭痛を引き起こす原因としては、ストレスが最も多く、次いで月経、空腹。天気が4番目に多いと言われています。

頭痛ーるを利用するみなさんの痛み記録から気圧や天気の変化が頭痛やめまい等の症状を起こす要因となっていることについては以前より把握することはできていました。

これまでの天気と頭痛発生に関する研究は小規模な人数による研究が多く、明確なエビデンスとなり得るような、一貫性のある結果が得られる研究は行われていませんでした。
このため、頭痛ーるチームでは、どのような天気で頭痛が起きるのかを明らかにすることで、体調の管理に役立つほか、頭痛発生のメカニズムの解明に繋がると考えました。

そこで、2021年に日本頭痛学会にご相談し、4名の頭痛専門医の先生方にご協力いただけることになりました。
頭痛に関する専門的な知識と分析力を持つ優秀な先生方に頭痛ーる気象予報士メンバーを加えた共同研究チームで、頭痛記録データを用いた天気と頭痛発生のメカニズムに関する共同研究が始まりました。

研究に使用したデータと解析方法

今回はみなさんが記録した大量の頭痛記録データの中から2020年12月から2021年11月までの頭痛記録データを対象とし、その中から東京都・神奈川県・埼玉県・大阪府・愛知県・石川県で記録された片頭痛が強く疑われるユーザー4,375名の頭痛記録データを抽出しました。気象データは気象庁ホームページにて公開されている、気温や湿度などの1時間ごとのデータを使用しました。

気象データと1時間ごとの頭痛記録データ登録数を、人工知能の1種である時系列クラスタリングという分析手法とAI予測分析ツールを用いて解析を行いました。

研究に使用したデータと解析方法

該当する4,375名のユーザーの頭痛記録データを解析したところ、頭痛発生と強く関連する天気の要素として、「低気圧」「高湿度」「降雨」「6時間前と比較して大きな気圧低下」「朝6時の高気圧」「翌日朝6時の低気圧」「1週間かけて気圧が低いままであること」「1週間かけて気圧が大きく低下していること」が頭痛発生と関与することが判明しました。

これらの結果を総合すると、頭痛の発生には、「気圧の変化」「降雨」「湿度」が関与することが示唆されました。
よって、頭痛ーるで表示している気圧の変化や降雨に基づく気圧アラートと頭痛に関係があることを示すことができました。

アメリカ頭痛学会の論文審査

「Headache」はアメリカ頭痛学会の公式医学雑誌で、世界的な頭痛分野の専門学会です。このため、論文の審査がとても厳しく、3人の専門家の査読者によるチェックが何度も行われました。
今回の研究が世界的な専門分野の医学雑誌に認められたことは非常にすばらしいことだと思っています。

論文を発表したことによる影響

この論文はアメリカ頭痛学会の掲載ページにアクセスすれば誰でも詳細まで閲覧できるようになっています。よって、世界中の頭痛診療にかかわる多くの医師を中心に読まれ、気象が頭痛発生の原因であることが改めて理解されるものと考えています。

今回の論文が頭痛予報のエビデンスとなりますので、今まで以上にみなさんに信頼して頭痛ーるをご利用いただけることにつながると考えています。

今後について

今後も頭痛を中心とした気象病に悩むみなさんの生活の質向上に向けた取り組みを継続して行います。また、社会での頭痛における基本的な情報の認知の拡大や啓発活動などを推進し、気象に起因する不調への理解がより進むように貢献していきたいと考えています。

頭痛ーるを引き続きよろしくお願いいたします。

論文情報

・論文名:Investigating the Effects of Weather on Headache Occurrence Using a Smartphone Application and Artificial Intelligence: A Retrospective Observational Cross-Sectional Study
・著者:Masahito Katsuki, Muneto Tatsumoto, Kazuhito Kimoto, Takashige Iiyama, Masato Tajima, Tsuyoshi Munakata, Taihei Miyamoto, Tomokazu Shimazu.
・掲載誌:Headache (https://headachejournal.onlinelibrary.wiley.com/)
・DOI:10.1111/head.14482
https://doi.org/10.1111/head.14482

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この記事の監修者
飯山 隆茂
飯山 隆茂
気象予報士/健康管理士

気象予報士として25年以上にわたり気象情報の提供に従事。頭痛ーる開始後からサービス追加に関わり、健康管理士取得後は気象と健康の両面から健康管理の普及に努める。

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