秋に注意したいペットの体調管理
例年は9月中に残暑が終わり、10月からは朝晩に涼しさが増し、日中も過ごしやすい気温になります。一方、朝と日中の気温差が大きくなるため、人間も体調が悪くなることがあるようにペットの体調にも影響を及ぼすと言われています。
また、10月から11月は日々の気温の下がり方が大きく、急に涼しくなったり寒くなったりすることもあり、人やペットの体調に影響を及ぼしていると考えられています。
10月と11月の気温変化の状況
下記の表は人の体調に影響を及ぼすとされる最高気温と最低気温の気温差が8℃以上の日数の10月と11月について過去5年間の平均日数を示したものです。
各地点とも10月は月の半分程度が体調に影響が出てもおかしくない状態でした。また、11月は札幌以外では10月より日数が多く、仙台は20日以上と月の約70%が体調に影響をもたらしやすい状況でした。10月よりも11月の方が注意する必要があるとも言えます。
最高気温と最低気温の8℃以上の日数の過去5年間の平均
札幌 | 仙台 | 東京 | 大阪 | 福岡 | |
---|---|---|---|---|---|
10月 | 16.4日 | 16.8日 | 15.8日 | 17.2日 | 15.4日 |
11月 | 10.4日 | 20.8日 | 18.6日 | 17.6日 | 16.2日 |
下記の表は8月から12月の最高気温と最低気温それぞれの1日と月末日の平年値の気温差を示したもので、5℃以上差がある月に色を付けています。
地点によって多少の差はありますが、9月から11月は最高気温、最低気温とも5℃以上の差があり、北日本の方が差が大きい傾向が見られます。これは特に10月と11月が気温の下がり方が大きく、ペットの体調にも影響を及ぼしていると考えられます。
最高気温と最低気温の1日と月末日の平年値の気温差(℃)
札幌 | 仙台 | 東京 | 大阪 | 福岡 | ||||||
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最高 気温 |
最低 気温 |
最高 気温 |
最低 気温 |
最高 気温 |
最低 気温 |
最高 気温 |
最低 気温 |
最高 気温 |
最低 気温 |
|
8月 | -1.7 | -1.9 | -1.6 | -1.3 | -1.6 | -1.2 | -1.7 | -1.7 | -2.1 | -2.0 |
9月 | -5.5 | -6.3 | -4.5 | -5.5 | -5.3 | -4.9 | -5.5 | -5.2 | -4.5 | -4.8 |
10月 | -6.6 | -6.2 | -5.2 | -6.2 | -4.9 | -5.7 | -5.6 | -5.9 | -5.1 | -5.7 |
11月 | -8.1 | -6.2 | -5.9 | -5.3 | -5.2 | -5.2 | -5.6 | -5.0 | -5.6 | -4.9 |
12月 | -4.0 | -3.9 | -4.4 | -3.4 | -3.5 | -4.3 | -4.4 | -3.9 | -4.0 | -3.6 |
内臓機能の低下
朝夕と日中の寒暖差(気温差)が大きくなると、体温調節を行ってる自律神経が疲弊し、消化器官などの内臓が弱まり、下痢をしやすくなると言われています。また、初秋は夏の暑さによる胃腸の疲れが原因で機能低下が続く場合もあると考えられています。
対策としては室温をなるべく一定に保つように注意し、また朝晩など肌寒さを感じる時期からは体温を調整しやすいように毛布などを用意しておくと良いようです。
呼吸器疾患
秋は中国大陸から進んでくる乾燥した高気圧に覆われるため空気が乾燥しやすくなります。この乾燥によってのどの粘膜が荒れるようになり咳やくしゃみなどの呼吸器症状が出ることがみられるそうです。
また、乾燥によりウイルスや細菌に感染しやすくなり、特に猫は「猫ウイルス性鼻気管炎」という伝染病に注意が必要と言われています。クシャミ・鼻水・咳・悦膜炎などの症状がみられ、クシャミで猫から猫に移るため注意する必要があるようです。
室内の湿度が50~60%になるように加湿したり、ワクチンを打つなどの対策を行うのが良いようです。
泌尿器系疾患
暑い時期は熱中症対策として特に注意してお水を飲ませていたと思いますが、秋以降も飲水量が減らないように注意が必要です。水分の摂取量が不足すると、おしっこの量が減ったり、古いおしっこを膀胱に長く留めてしまうことで膀胱炎につながる恐れがあるそうです。
特にシニアは脱水が起こりやすいようですので、飲水量が減らないように十分注意してください。
また、飲水量が減ると尿が濃縮されて濃くなるため、尿中に結晶ができやすくなり、結晶は大きくなると結石になり、結石が大きくなると手術が必要になるそうです。
このため、飲水量が減らないように、ドライフードをふやかしたり、ウェットフードにしたり、飲水に味を付けるなどしてみるのが良いようです。
乾燥による皮膚疾患
秋は被毛が生え変わる換毛期で、換毛期は皮膚病にかかりやすかったり普段よりもストレスを感じやすくなるようです。皮膚が薄い犬は肌が乾燥すると皮膚のバリア機能が低下し、かさかさしてかゆみが出て、掻きむしることで皮膚疾患を誘発してしまうことがあるそうです。
部屋の湿度管理やシャンプー、保湿対策などが大切になります。
秋の気象変化によって現れやすい疾患を理解し、疾患の症状がなるべく発生しないように、室温や湿度に注意してコントロールするようにしてください。
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参考資料
WanQol 秋に起こりやすい犬のトラブル5選。健康管理のポイントと対策を獣医師が解説
Furboブログ 獣医師連載 秋は要注意!季節の変わり目に多い犬の健康トラブルと対策を解説
MAG2NEWS 獣医師が教える。秋からのペットの体調管理で注意すべき3つのこと
SBIプリズム少短 獣医師監修 ワンちゃんネコちゃん秋から冬にかけて多い病気