梅雨に注意したいペットの体調管理
梅雨は高温多湿の日が続きストレスを受けやすい時期ですが、ペットにとっても影響が大きくなります。食欲が落ちたり、吐いたりなどの体調不良が現れたり、皮膚や耳にトラブルも起こりやすくなります。
梅雨に注意したいペットの体調管理のポイントについてお知らせします。
ペットにも起きる気象病
気圧や湿度、気温の変化によって、頭痛やだるさ、気分の落ち込みなどのさまざまな症状が現れたり腰痛や神経痛などの持病が悪化することを気象病と呼んでいます。
この気象病は人間だけでなく、犬や猫も影響を受けて元気がなかったり、食欲が落ちたり、よく吐いたり、下痢をしたりするなどの症状が出ていると考えられています。
下痢や嘔吐
梅雨時期になると下痢や嘔吐をすることが増えるといわれ、この原因は自律神経のバランスの乱れと考えられています。自律神経は呼吸や血圧、消化器官、ホルモンなどをコントロールする働きを持ち、犬や猫、人間においても同様の働きをしています。
低気圧の接近などで気圧が下がることで自律神経のバランスが乱れ、血管が膨張して血流が悪くなったり、胃腸の働きが悪くなることで下痢や嘔吐をしている場合があると考えられます。また、寒暖差が大きい場合も自律神経のバランスが乱れ、胃腸の働きが低下して嘔吐や下痢をすることもあります。
一日に何度も続く場合や食欲がなく元気がない場合は動物病院に連れて行きましょう。
食中毒
梅雨時期は高温多湿となり、食中毒の原因となる細菌類が繁殖しやすくなります。代表的な細菌はサルモネラ菌、カンピロバクター菌、ウェルシュ菌で食肉や魚介類、鶏卵などに多く含まれ、20℃程度で徐々に増殖し、30℃を超えると活発に増殖します。
予防や対策
フードの管理が重要になります。
・ウェットフードは開封後1回で使い切るようにしましょう。
・ドライフードを含め、置き餌をせずに、細菌が繁殖する前の30分程度で片づけるようにしましょう。
皮膚トラブル
犬や猫の皮膚の表面にはブドウ球菌やマラセチア菌などの常在菌という細菌が付着しています。この常在菌は高温多湿になると非常に増えて、皮膚に様々な症状を引き起こします。
膿皮症(細菌性皮膚炎)
ブドウ球菌などによって起こる皮膚病で、皮膚の抵抗力が低下したり、免疫力が弱まると強いかゆみなどの炎症が起こります。
初期症状の発見ポイント
初期症状としては下記の症状がみられるようですので、異変に気づいた際は病院に行くようにしてください。
・小さな赤い斑点が皮膚に現れる
・皮膚が少し湿ったように見える
・かゆみを伴う場合があり、頻繁に掻くしぐさを見せる
予防や対策
・エアコンで室内の湿度を下げるようにしましょう。
・定期的にブラッシングやシャンプーを行うことで、皮膚に付着した汚れや余分なフケを取り除いて皮膚のコンディションを維持するようにしましょう。
マラセチア皮膚炎(脂漏性皮膚炎)
マラセチアという酵母菌が過剰に増殖することによって起こる皮膚炎で、多湿によって皮膚の赤みやかゆみが出ます。
初期症状としては下記の症状がみられるようですので、症状が見られた際は病院に行くようにしてください。
・フケが増加している
・皮膚にべたつきが見られる
・赤みやかゆみが現れる
予防や対策
〈犬の場合〉
・定期的にブラッシングすることで蓄積された脂を取り除くようにしましょう。
・栄養バランスの整った食事や適切な体型を維持できるようにしましょう。
〈猫の場合〉
・定期的に毛をとかし、皮膚と被毛を清潔に保つようにしましょう。皮脂の過剰分泌を防ぎ、マラセチア金の繁殖を抑えることにつながります。
・栄養バランスのよい食事を与えるようにしましょう。
外耳炎
一般にカビと呼ばれ空気中に浮遊する真菌や細菌、ダニなどにより耳の鼓膜までの外耳に起きる炎症で、梅雨時は菌が繁殖しやすく、ダニなどが活発になりますので特に注意が必要です。
初期症状の発見ポイント
〈犬の場合〉
・首を振る
・頭や耳を掻く
・頭や耳を家具や床にこすりつける
・耳の周りを触れられるのを嫌がったり怒ったりする
・他の犬からしきりに耳を舐められる
・呼びかけに気づきにくくなる
〈猫の場合〉
・耳周りをよく掻くようになる
・顔の額に引っ掻き傷ができる
・耳をめくると耳垢がたまっていたり、赤みがある
・耳が臭うようになる
・耳周りの毛が薄くなる。毛が絡まっている
予防や対策
・室温と湿度
室内が高温多湿にならないようにエアコンを使用して調整しましょう。
・耳の状態の確認
梅雨に入る前に、耳の中の状態を確認して、炎症が起きていないかや耳垢の量を確認し、異常があれば動物病院で診てもらうようにしましょう。
・寝床の環境
犬の場合、寝具が不衛生になっていないかを確認し、きれいな状態にしたり通気性の良い素材に取り替えるなどを行うようにしましょう。
・散歩や遊び場
草むらや藪の中では耳の中に異物が入る危険性が高まりますので、自然の中で遊ばせるときはしっかりと整備されたきれいな環境で遊ばせるようにしましょう。
最後に
頭痛ーるアプリには気圧だけでなく、天気予報のコーナーでは気温や湿度の予報を確認できます。梅雨に気象変化によって現れやすい疾患を理解し、症状がなるべく発生しないように湿度に特に注意していただき、予防や対策にお役立てください。
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参考資料
P`s-first ペットも悩ませる!梅雨時期の体調不良
ねこのきもち 梅雨時に猫が体調不良になりやすい理由 飼い主ができることを獣医師に聞いた
アース・ペット 【獣医師監修】梅雨時のペットの体調管理
つだ動物病院 梅雨時に気を付けたい犬猫の食中毒
KS Online 梅雨時に気をつけたい犬の病気と健康管理【獣医師アドバイス】
永原動物病院 愛犬・愛猫の皮膚を守る! 犬と猫の膿皮症の基礎知識と対処法について
Ken doc 愛犬の皮膚がかゆい?マセラチア皮膚炎の症状と治療法
PEPPY 犬の外耳炎の症状とは?原因や治療方法を解説
KINS WITH 動物病院 猫の外耳炎。原因と症状、治療について