ペットと気象病 Vol.6:猫は寒さに強いの?弱いの?

猫
童謡「ゆき」の歌詞に、「犬は喜び 庭駆け回り 猫は炬燵で丸くなる」という歌詞があります。猫は寒がりというイメージがありますが、本当に猫は寒がりなのでしょうか?

猫が寒がりといわれる理由

猫の祖先の原産地

猫の原種は中東~北アフリカにすむリビアヤマネコと考えられています。リビアヤマネコは砂漠などに生息していたと言われます。2007年に遺伝子を解析した結果、現在のイエネコの祖先であることが証明されました。

そのため猫は暑さには強いが、寒さには弱いとされているのかもしれません。

寒い地域出身の猫

猫の祖先の原産地は中東から北アフリカですが、寒い地域出身の猫もいます。ノルウェー原産のノルウェージャンフォレストキャット、ロシア原産のサイベリアン、アメリカ最北端メイン州出身のメインクーンなどが代表的です。寒い地域出身の猫は長毛でダブルコートの猫が多く、寒さに順応できる特徴を備えています。

寒がるかどうかは猫の出身地に関係する

一般的に猫は寒さはあまり得意ではなく、寒がりの猫は多いです。しかし、出身地によっては寒さに強い猫もいて、被毛の構造も若干異なります。

猫が寒い時にする行動

では、猫は寒い時にどのような行動をするのでしょうか?
代表的なものを紹介します。

まるくなる

猫は寒いと感じるとまるくなって寝ます。
からだを丸めるのは、できるだけ身体から熱が逃げていくのを減らすためです。
顔を自分のお腹にうずめている様子もよく見られます。

暖かい場所に移動する

猫は寒くなるとファンヒーターの近くやこたつの中、日のよくあたる窓辺などの暖かい場所に移動します。ファンヒーターが暖かいと分かると、点いていないのにじっと前に陣取る姿も見られますね。

毛を逆立てて体を膨らませる

多くの猫の被毛は長くてしっかりした主毛とふわふわした副毛からなります。特に寒い地方出身の猫は副毛が多く、暑い地方出身の猫は副毛が少ない傾向にあります。
被毛の間に空気を含ませて暖かい空気の層を作り体温を逃がさないようにしています。
とても寒い時には体をまるくして、毛を逆立てていることもあります。

食欲旺盛になる

どちらかというと寒くなる前に食欲が増すことが多いです。
クマが冬眠前にたくさん食べて寒い冬に備えるように、涼しくなる秋ごろから食欲が増して、皮下脂肪を蓄え冬の寒さに負けないようにします。

猫が寒いと感じる温度は?

猫が寒いと感じる温度は20度以下です。
日中は日差しもあり比較的暖かい場合も、夜間にぐっと冷え込む場合がありますね。
寒暖差がある時に体調を崩しやすいので注意が必要でしょう。
猫が過ごしやすい温度は20~28度と言われています。室温が25度程度になるように設定温度を調節しましょう。
湿度は50~60%がよいでしょう。冬になると乾燥しやすくなります。ブラッシングの時にフケが多いと感じたら、乾燥気味かもしれません。乾燥は静電気の原因にもなりますので、適度な湿度を保ちましょう。
気温のチェックとともに、乾燥指数に注目すると対策をとりやすいでしょう。

猫の寒さ対策

猫が快適に暮らすための寒さ対策はどのようなものがあるのでしょうか?

ベッドの位置を変える

窓の近くは冷気が伝わりますし、ドアの近くは隙間風が通ります。できるだけ、窓やドアから遠い人の出入りの少ない場所にベッドを移動しましょう。

ペットヒーターを利用する

ペットが快適に過ごせる温度に設定されたペットヒーターを利用しましょう。猫は被毛におおわれているので、熱くなっていることに気づかず低温やけどを起こしてしまうことがあります。ペットヒーターは直に使わないようにしましょう。ホットカーペットも同様です。

エアコンの利用

エアコンは火を使わないので火災の原因になりにくく、猫自身もやけどの心配がありません。石油ストーブ、電気ストーブ、ファンヒーターはやけどや火災の原因になりやすく、猫がいる家庭では危険度が増します。
エアコン使用中は乾燥しますので、加湿器の利用を考えた方がよいかもしれません。
乾燥しすぎると、呼吸器系の病気やウイルス感染しやすくなります。

暖かい場所に水飲み場やトイレを設置する

寒くなると膀胱炎になりやすくなります。
寒くなり水を飲む量が減ったり、寒くて動きたくないためにトイレを我慢してしまうことが原因かもしれません。
膀胱炎や尿路結石が起こりやすいのは冬です。
暖かい場所に水飲み場やトイレを設置しましょう。

暖房器具を使う時の注意

寒さ対策として暖房器具を使う場合の注意点をご紹介します。

室温をあげすぎない

猫が快適な温度は20~28度ですが、暖房の設定温度は20度前後を目安にしましょう。
温度が上がりすぎると熱中症を起こしてしまう場合があります。特にこたつが大好きで、もぐりこんでいる猫は注意が必要です。
猫は自分で温度調節をするのが上手です。部屋の中に暖かい場所と涼める場所を作りましょう。

やけどに注意

ヒーターやストーブを使う場合は、やけどに注意が必要です。直接触らないようにストーブガードを設置しましょう。猫はジャンプ力がありますので、柵を飛び越える恐れがあります。
特に石油ストーブは猫のいる家庭ではお勧めしにくい暖房器具です。
また、ホットカーペットは低温やけどの原因になる恐れがあります。必ず厚手のカバーなどを敷き、皮膚に直接触れないようにしましょう。

まとめ

猫は基本的に寒がりですが、寒い地方出身の毛量の多い猫たちは比較的寒さに強い傾向があります。しかし、やはり冬は寒いです。風邪、下痢や嘔吐、膀胱炎といった病気になりやすいですので適度な暖房で過ごしやすい環境にしてあげましょう。
冬になると乾燥注意報が発令されることが多いですが、暖房を入れるとさらに空気が乾燥します。乾燥は皮膚のかゆみやフケ、呼吸器系の病気にかかりやすくなります。天気予報に注目して気温・乾燥指数のチェックも欠かさないようにしましょう。

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この記事の監修者
平松 育子/獣医師・アロマテラピーインストラクター
平松 育子/獣医師・アロマテラピーインストラクター
大手動物病院 院長
アイビー・ペットライティング代表

獣医師歴27年の経験を活かし、各方面で活躍。
得意分野は皮膚疾患で、皮膚科・内科を中心とした一般診療に従事。予防にも力を入れている。

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