ペットと気象病Vol.15:夏から秋にかけて季節の変わり目に気をつけたいこと
今年の夏は残暑が厳しく過ごしやすい季節はまだ先になるのかもしれません。秋になって体調が思わしくない状態を「秋バテ」「残暑バテ」というようですが、涼しくなり始める時期はワンちゃんやネコちゃんにとっては体調を崩しやすい「要注意の時期」でもあります。
ここでは、飼い主さんが夏から秋への季節の変わり目に気を付けたいポイントを詳しくご紹介します。
1. 気温差による体調不良
夏の名残で日中は暑くても、朝晩はぐっと涼しくなるのが秋の特徴です。人間は服装や寝具で簡単に調整できますが、犬や猫は自分でコントロールすることができません。暦の上では秋であっても、日中は暑い日も多く、寒暖差が大きくなることが原因で体調を崩すことがあります。
特に注意したいのは次のような症状です。
- 咳やくしゃみ、鼻水などの呼吸器症状
- 下痢や嘔吐など消化器の不調
- 食欲不振や元気がなくなる
体温調整が苦手な子犬や子猫、シニアの子は特に影響を受けやすいため、寝床には毛布やタオルを用意し、暑ければ外せるようにしてあげましょう。室温管理も大切ですが、体感に合わせて調整できるよう「快適な居場所を作る」ことがポイントです。
2. 夏バテの後に出る疲れ
夏の間に続いた暑さや冷房の影響で、体力や免疫力が落ちている子は少なくありません。「夏を乗り切ったから大丈夫」と思っていても、実は秋になってから体調を崩すケースもよくあります。
例えば、
- なんとなく元気がない
- 食欲が完全には戻らない
- いつもより寝てばかりいる
といった変化は、夏バテの影響かもしれません。いつか体調がよくなるかもしれないと様子を見ていると、状態が悪化する可能性があります。早めに休養や栄養補給を意識してあげましょう。消化に良いフードや、必要に応じてサプリメントを利用するなどしてサポートするのも一つの方法です。
3. 秋に増えるアレルギーや皮膚トラブル
秋はブタクサ、ヨモギなどの雑草の花粉が舞う季節で、人と同じようにアレルギー症状が出るペットもいます。また、夏に増えたダニやハウスダストが残っていることで皮膚や耳にトラブルが起きることもあります。
かゆみや赤み、脱毛、耳をしきりにかく、頭を振るといった行動が見られたら要注意です。
飼い主さんができる予防策としては、
- 散歩の後はブラッシングをして体を清潔にする
- 寝具やカーペットはこまめに洗濯・掃除する
- 痒がる様子が見られたら早めに受診する
など、身近な環境を清潔に保つことが大切です。
4. 食欲の秋に気を付けて
涼しくなると食欲が増すのは、人もペットも同じです。「よく食べて元気でうれしい」と思う一方で、食べすぎには注意が必要です。夏にあまり食べられなかった反動で急に食欲が戻り、肥満や消化不良につながるケースもあります。
また、ナシやカキなどの秋の果物は、甘味や水分が豊富で好む犬が多いのですが、下痢になってしまうケースもあります。
肥満は心臓病や関節疾患、糖尿病などさまざまな病気のリスクを高めます。健康を維持するためには、食欲に合わせてごはんを増やすのではなく、体重や体型を基準に食事量を調整することが大切です。
また、秋は運動に適した季節。散歩の時間を少し長めにとったり、遊びを増やしたりして、食べた分をしっかり消費できるように工夫しましょう。
5. 秋ならではの危険に注意
秋の味覚や自然の中には、ペットにとって危険なものもあります。
- ブドウやレーズン:腎不全を引き起こす危険性がある
- 栗やトウモロコシの芯:消化されず腸閉塞の原因に
- 落ち葉や草むらに潜むマダニ:秋も活動しており、感染症のリスクがある
特に、マダニが媒介するSFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、人への被害が多く報告されています。ウイルスを持ったマダニに刺されること、または感染した動物(犬や猫など)の血液や体液に触れることで感染する、致死率の高い感染症です。ダニが多く潜んでいる叢にはできるだけ入らないようにし、ペットには予防薬を投与しましょう。
お散歩中の拾い食いには十分注意しましょう。また、寄生虫予防は「夏で終わり」と思われがちですが、フィラリアやノミ・マダニの予防は秋もしっかり続けることが大切です。初霜が降りる頃まで、獣医師の指示に従って投薬を続けましょう。
まとめ
夏から秋への季節の変わり目は天候の変化も大きく、さまざまな要因でワンちゃんやネコちゃんの体調が変化しやすい時期です。
毎日のちょっとした変化に気付いてあげることが、病気の早期発見や予防につながります。体調管理には頭痛ーるを活用していただき、日々の体調の記録をつけていきましょう。「少し元気がないな」「食欲が落ちている」と感じたら、早めに動物病院にご相談ください。
季節を楽しみながら、ペットと一緒に元気に秋を迎えましょう。