【気象病】メカニズム・原因と改善に向けたアドバイス
寒いと、鳥肌が立つことってありますよね?
私たち人間には、環境の変化に身体の変化を合わせる仕組みが備わっています。
しかし、健康状態が崩れると、身体が環境変化に合わすことが難しくなり、身体に不調が表れます。
風邪をひいて喉が痛くなるという経験、あるのではないでしょうか。中には、雨が降ると古傷が痛んだり、頭痛・気分の落ち込みがあるという人も、いることでしょう。
天気の崩れや環境の変化に自分の身体がついていけず、自分の弱いところが出てきてしまうというのが気象病・低気圧頭痛です。
気象病・低気圧頭痛の原因~気圧と内耳に関係アリ?
気圧が下がると頭痛がするなど、気圧・気温・湿度の変化によって身体の不調を感じた経験のある方、少なくないと思います。
そもそも、気圧の変化って日常的に感じるものなのでしょうか?
実は、気圧が1hPa(ヘクトパスカル)低くなると海面が1cm上がります。
普段生活する中において、この気圧差を体感することはないかもしれませんが、私たちの身体は日々、気圧の差に負けないよう整えようとしているのです。
私たちに気圧の変化を知らせるきっかけは、耳の奥にある内耳です。
内耳がセンサーのような役割をしていて、脳の中枢にある自律神経に気圧の変化を伝えます。
自律神経には交感神経と副交感神経がありますが、特に気圧の変化が影響するのは交感神経(身体を興奮させる方の神経)です。
この内耳のセンサーが敏感だと、わずかな気圧の変化でも脳に対して過剰に伝わってしまいます。
その結果、頭痛、めまい、肩こり、ぜん息、うつ病といった様々な不調に繋がるのです。
気象病・低気圧頭痛を改善する方法・アドバイス
頭痛、めまい、肩こり、ぜん息、うつ病……。気象病・低気圧頭痛を少しでも改善したいのであれば、内耳の血流に注目しましょう。
なぜなら、気圧の変化と身体の水分の調整が密接な関わりを持っているからです。
耳を構成する部位のうち、内耳は、聴覚を担当する蝸牛(かぎゅう)と平衡感覚(バランス)をつかさどる三半規管(さんはんきかん)から構成されています。
内耳には気圧の変化を感じ取るセンサーのような役割があります 。
また、内耳は水分で満たされており、外リンパと内リンパという異なるリンパ液が循環しています。
(※リンパとは、全身に網目のように張り巡らされいるネットワークのようなものがあります。これが「リンパ管」であり、その中を流れるのが「リンパ液」です。)
内耳や体内の水分の循環を良くすることで、体を環境変化に合わせられるようになり、結果、症状改善が期待できます。
症状の改善には抗めまい薬・酔い止め薬での治療が有効
抗めまい薬・酔い止め薬には、内耳の水分循環を改善する作用があり、神経の興奮を抑えて、めまいや吐き気を抑える効果があります 。
また漢方で五苓散(ゴレイサン)いう薬も、水分循環を改善し、無駄な水分を取り除く作用があるので、効果があると言われています。
※薬や漢方薬にも副作用がありますので、服用する際は主治医や薬剤師に相談をして用法を守って服用しましょう。
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舟久保 恵美
慶應義塾大学医学部神経内科非常勤講師/医学博士/保健師/健康気象アドバイザー
名古屋大学環境医学研究所にて、天気と痛みの関係について研究し、医学博士号を取得。
日本で唯一の低気圧頭痛を専門にする産業保健師(現在、内田洋行グループ企業の従業員の健康管理を行っている)。