1月の気象病~乾燥による肌の悪化と気温差による心筋梗塞に注意~
1月に現れやすい気象病と体調管理
乾燥による肌の悪化とかゆみ
冬型の気圧配置が現れると太平洋側では冷たい北西の風が吹き空気が乾燥します。冷たく乾燥した空気に暖房器具を使用することで更に空気が乾燥し、肌の水分が乾燥した空気中に逃げて行きます。また、厳しい気温の低下から新陳代謝が乱れ、皮脂の分泌量が減少します。
皮脂による肌のバリアが弱まると、水分の蒸発が促進されて口元や頬に粉が吹いたり、肌にひび割れなどの症状が現れます。
この肌の状態は乾皮症・皮脂欠乏症と呼ばれる皮膚に起こる疾患です。この疾患はかゆみを伴いますが、皮膚から分泌されるヒスタミンがかゆみを引き起こしていると考えられています。
ヒスタミンは外気の温度差や皮膚への刺激によって細胞外に放出され、かゆみや痛みを感知する知覚神経に作用することで「かゆみ」として脳と末梢神経に伝えられます。ヒスタミンは刺激によって分泌されるためかゆみを感じる部分を掻くことでさらにかゆみを悪化させる原因となります。
乾皮症(皮脂欠乏症)の予防法
入浴時の乾燥対策
入浴時の過度な洗浄は肌の表面のバリアを洗い流してしまうため、タオルを使用せずに弱酸性のせっけんを泡立て優しく洗いましょう。
湯船には保湿剤入りの入浴剤を使うことで乾燥を抑制できるでしょう。
室内を湿度60%前後に保とう
冬はエアコンやファンヒーター、こたつなどの暖房器具を使用する機会が増え、室内の空気が乾燥しやすくなります。加湿器や観葉植物を置いたり、濡れたタオルを干すなどの工夫をして湿度を60%前後に保つことが重要です。
肌をクリーム、オイルなどで保湿しよう
肌の乾燥は保湿剤で予防することが最も大切です。保湿クリームやワセリン、ツバキ油、尿素難航などで保湿を行い、皮膚表面に膜を張って水分が蒸発しないようにしましょう。個人の体質によって効果に違いがありますので、自分の肌に合ったものを選びましょう。
肌に良い食材「セラミド」を摂取しよう
肌の角質層の水分保持に効果があるセラミドは肌の内部でも生成されますが、年齢とともに生産量が減少するため、食べ物から補給する必要があります。
セラミドを多く含む食材としては、大豆・ほうれん草・黒ゴマ・ごぼう・ひじきなどがあり、積極的に取るようにしましょう。
心筋梗塞
心筋梗塞は12月から3月に発生することが多い傾向があり、冬の急激な温度差による血圧の上昇と血管の収縮が大きく関係しています。
暖房の効いた暖かい部屋から寒い屋外や暖房のない部屋に移動したり、暖かい浴室から寒い脱衣所に移動すると、皮膚の表面温度が急激に低下するため、皮膚内に多く集まっている末梢血管が収縮し、体温が低下しすぎないように調節します。
また、血管が収縮して皮膚表面の血流が少なくなった分だけ、体の中心部を流れる血流が増加します。この血流が増加した際に心臓の冠状動脈に動脈硬化の進んでいる部分があると急激に増加した血液が冠状動脈を通過できず発作が起こります。
また、急激な温度差により急激に血圧が変動して心臓や血管に一時的に大きな負荷をもたらす急性の循環器疾患をヒートショックと呼び、失神や心筋梗塞を引き起こします。
ヒートショックを起因とした死亡者数は年間で1万人を超えており、十分な注意が必要です。
冬の心筋梗塞を防ぐ方法
外出時
外出する際は防寒対策をすることで冷たくなった血液による血管の収縮を防止することができます。
入浴時
入浴する際に下記の対策をすることで血圧の上昇と血管の収縮の防止につながります。
1月に起こりやすい症状と予防法を理解して、体調管理を行うようにしてください。
【参考文献】
成人病予報対策研究会 ほすぴ 気象と健康~冬の健康~