「マロと聴く気象病のための音楽」ができるまで

ひとつの「共感」から始まった、頭痛ーるとデラの音づくり

気象病対策アプリ「頭痛ーる」とヒーリング音楽レーベル「デラ」。
この二つの世界が出会い、誕生した音楽作品が『マロと聴く 気象病のための音楽』です。

気圧の変化による不調に悩む人々に向け、“音の力でそっと寄り添いたい”という想いから始まった本プロジェクト。
クリエイターたちの熱意と制作の裏側を、『頭痛ーる』クリエイターの安中 朋哉、『デラ』企画制作部の楯 百恵さんに伺いました。

コラボのきっかけ——「これは私が動くしかない」と感じた瞬間

――まずは、このコラボレーションが生まれたきっかけを教えてください。

楯さん: はい。実はこの話をするのは初めてなんですが、社内の企画会議の中で「気象病」「気圧の変化による体調不良」「頭痛」といったキーワードが出てきたんです。
その瞬間、「これは私が動くしかない」と思いました。
なぜなら、私自身10年以上前から気象病に悩んでいて、「頭痛ーる」をずっと使っていました。
「この体調の波、やっぱり気圧のせいだったんだ」と知れただけで救われた経験がありましたので、
今度は“音楽の力”で支える番だ、と使命感のようなものを感じたんです。

『デラ』企画制作部 楯 百恵さん

――ご自身の経験が原動力になったんですね。

楯さん: そうなんです。「頭痛ーる」さんにお声がけして、振り向いていただければきっと良いものが作れるのではないかと会社に企画をゴリ押ししました(笑)。
まずメールをさせていただいたのですが、こんなにすぐに良いお返事が来るとは思っていませんでした。

その後、「ぜひやりましょう」という温かい言葉をいただき、まだ何を作るかも決まっていない状態から、色々とアイデアを考えていただいて、ようやくスタートラインに立てたという感覚でした。

安中:本当に、そう言っていただけるのは光栄です。
実は私もずっと、「音の力で頭痛ーるをもっと人に寄り添う存在にできないか」と考えていました。ただ、癒し系の音楽やリラックスアプリは世の中にたくさんあります。だからこそ、ただの“癒し”ではなく、根拠と技術に裏づけられた“信頼できる音”を届けたかった。

そんな中でデラさんからご連絡をいただき、会社を調べた瞬間に「この方々となら本質的なものづくりができる」と感じました。
長年“音の癒し”を真摯に探求されている姿勢に強く共感し、「ぜひご一緒したい」とすぐにお返事したのを覚えています。

音楽制作の裏側——“雨音”に導かれたサウンド

――今回のアルバムでは、国立公園で録音された“生の雨音”が使われているそうですね。このこだわりにはどのような理由があるのでしょうか。

安中:制作の初期段階で、いくつかのキーワードを設定していました。その中でも特に意識していたのが「ローファイ(ざらついた質感の音)」と「ホワイトノイズ」です。ざらつきやノイズが人に心地よさを与えるという研究結果もあり、実際、YouTubeなどではLo-fi(ローファイ)チルホップやチルアウトミュージックとして人気を集めています。

そうした世界観を取り入れたいと考えていたところ、デラさんが非常に豊富な雨音のライブラリをお持ちだったんです。雨音そのものが“ノイズ”であり、同時にリラックス成分を含んでいます。たとえば「1/fゆらぎ」と呼ばれる自然界特有のリズムもそのひとつです。

雨が降ると人はどこか憂鬱な気分になりますが、その中にも心をなだめるような「ご褒美のような心地よさ」が潜んでいる。そんな矛盾した感覚こそ、この作品で表現したかったテーマのひとつなんです。

『頭痛ーる』クリエイター 安中 朋哉

楯さん: 生の雨音を利用するにあたっては、屋久島の音を絶対に使いたいというこだわりがありました。また、今回のためにもう一か所、自分の企画ということもありアルバム制作のために西沢渓谷まで雨音を録りにいったんです。

天気予報を見て、雨予報の日に収録する日程を決めましたが、自然相手のため、予報が変わり、現地に到着して登山道を進んでも進んでも中々雨が降らず、あきらめかけていたころに運良く雨が降ってくれて、理想的な雨の音が何パターンか録れました。今回その中の2つをアルバムに採用しました。

雨具に音が当たるとパチパチ響くので、楯さんは傘もささずにずぶ濡れになりながらの録音

極限まで遅くしたオルゴール——“聴かせすぎない音”を目指して

――雨音に加え、オルゴールをメインに選ばれたのはなぜでしょうか?

安中:いちばんの理由は、「聴かせすぎない」音だからです。ピアノや弦楽器も考えましたが、オルゴールは音数が少なく、間がある。その“間”に呼吸が生まれるんですよね。

デザインでも同じですが、要素を足すよりも、どこまで削っても成立するかを探る方が本質に近づける。
音楽もそれと同じで、情報を減らすほど、聴く人の感情や記憶がその空白を埋めていくと思うんです。

デラさんの「α波オルゴール」シリーズには、α波を誘発する周波数信号が含まれていて、科学的にもリラックス効果があります。
その確かな技術の上に、“静けさをどうデザインするか”という発想を重ねました。

私からお願いしたのは「テンポを極限まで遅くしてほしい」ということでした(笑)。
普通のオルゴールって巻いた直後は速くて、少しせわしないんですよ。
だから“止まりかけのオルゴール”のような、ゆったりしたテンポをリクエストしました。

オルゴール自体が持つ情報の少なさに、さらに“時間の余白”を加える。
そうすることで、音と音のあいだの沈黙が生まれ、その静寂を“生の雨音”がそっと補ってくれる。
まるでUIデザインで、余白が体験を整えるように。
音と静けさのあいだに、人の心がそっと居場所を見つける。そんな音を目指しました。

楯さん: オルゴールは、聴かせすぎない、派手ではない素朴な音で、作業用BGMなどにも非常に向いており、デラの人気シリーズの一つです。小さい頃から聴き馴染みのある音で、誰しもが安らぐという点で人気があります。
結果として、スローテンポなα波オルゴールと、雨音の持つ1/fゆらぎの成分がドッキングした形になりました。だから、雨音とオルゴールどちらが主に聴こえても自然と脳が安らぎの方向へ導かれ、“リラックスできる状態”を作り出すことができました。

デラの編集スタジオを見学――この場所で聴く人がよりリラックスできるようにするための音づくりや細かな調整が行われました。

名曲に込めた意味——“虹”と“月”、気象を映す音の組み合わせ

――今回、オルゴール曲に「虹の彼方に」と「月の光」を選ばれた理由を教えていただけますか

楯さん: 「虹の彼方に」は、私自身が昔から好きだった曲で、雨のイメージにも合うと思いました。
雨が降ったあとに虹がかかる情景もそうですが、この曲には「勇気を持って外の世界に踏み出そう」「大切なことは自分の中にある」というメッセージが込められています。
気象病でつらい思いをしている方への、ささやかな励ましになればと思いました。

♪【マロと聴く気象病のための音楽#001】虹の彼方に~Rain Mix~オルゴールver.

安中: 私が提案した「月の光」は、夜の月が水面に映るような情景が思い浮かぶ曲で、昔からとても好きでした。
オルゴールとの相性もよく、そして何より多くの人にとって馴染みのある曲であることも大切でした。
「月の光」は“夜”、
「虹の彼方に」は“雨上がりの昼”。
それぞれが昼と夜、光と静けさを象徴していて、組み合わせとしても自然に対をなしていると感じました。

♪【マロと聴く気象病のための音楽#002】月の光~Rain Mix~オルゴールver.

楯さん: 音の組み合わせにもこだわりました。「月の光」には、少し憂いを帯びた幻想的な屋久島の雨音を。
「虹の彼方に」には、明るい昼の渓谷で録った雨音を合わせています。
太陽と月のように、性質の異なる二つの音が生まれ、結果的に非常にバランスの取れた作品になりました。

安中: 結果的に、気象や自然現象をテーマにした二つの曲が選ばれたのは、偶然ではないように感じています。
「虹」と「月」。どちらも、天気の向こう側にある“心の状態”を映しているように思うんです。

制作を通じて感じたお互いの印象

――制作を通して、お互いに印象に残ったことはありますか?

楯さん: 安中さんはお話しすると非常に柔らかく、優しい方です。でも、制作となると一切妥協しない。
どんなに細かい点でも「これが最善か?」と考え抜いていて、プロの仕事を間近で見て刺激を受けました。

安中: ありがとうございます(笑)。 でも僕のほうこそ、楯さんの行動力と情熱に助けられました。
「やりたい」をここまで形にするパワーは本当にすごい。名前だけのコラボレーションではなく、本当に新しいものを生み出せたと思っています。

最初の打ち合わせで、デラさんに言われて印象深かった言葉があります。リラックス音楽にはエビデンスや科学的裏付けがあるのは当然ですが、「その前に、一つの作品として聴いて心がほぐれるって大事じゃないですかね」「ただ気持ちいい」が先にあって、理屈は後からついてくる、という考え方にすごく気が楽になりました。

楯さん: そのフィーリングが一致したことが、このコラボレーションの成功に繋がったと感じています。
気象病というデリケートな内容を扱っているからこそ、「聴いた人がいかに心地よく感じるか」というところを大事に思ってくださったことが、この形になれた理由だと思っています。

『マロと聴く 気象病のための音楽』を聴く人への想いと今後の展望

――このアルバムをどのようなシーンでユーザーさんに聴いて欲しいか、お二人のおすすめのシチュエーションをお聞かせいただけますか?

安中: 仕事や集中したい時、何かに没頭したい時のBGMとしておすすめです。また、寝る前や、ちょっと疲れて深呼吸したいタイミングでの気分転換にも合うと思います。
情報を少し遮断して、目を閉じ、この音だけがそっと流れている――
そんな時間を意識的につくってみるのもいいかもしれません。頭を空っぽにして“何もしない”ことを許す音、そんな使い方をしてほしいです。

楯さん: 私は、「頭痛ーる」アプリと同じように、そっと寄り添ってくれる存在として聴いてもらいたいと思っています。ヘッドホンで意識的に聴くのも良いのですが、スピーカーから何気なく流れてくる音として、作業中やぼーっとしたい時に聴いてもらえると嬉しいです。

特に、頭痛の時というのは、音楽をガンガン聴いてしまうと逆に痛みに触ってしまう方もいらっしゃると思います。私自身も頭痛がひどい時にはヘッドホンを遠ざけてしまうのですが、この作品を小さな音で流してみたところ、頭痛の負のループから気を散らしてくれる音として寄り添ってくれました。

安中: まさに、“気を紛らわす”という意味合いですね。
通勤中の聞き流しにも良いですが、この作品は一曲ごとがコンパクトな小品としてまとまっているので、最後まで聴いても負担がなく、ちょうどいい長さなんです。

サビや繰り返しで感情を引っ張るタイプではなく、静かに始まり、静かに終わる。だからこそ、お茶を一杯飲むような小さな休憩のリズムとして聴くのもおすすめです。

――今後の展望についてはいかがでしょうか

楯さん: 続編として、ローファイの要素を取り入れたものなど、まだ色々な展開ができると考えています。また、「頭痛ーる」さんと組むことで、私のように気象病ということを知るきっかけになった方々にも、改めて作品を通じてこの病気についての理解を広めるきっかけにしたいと思っています。今後も引き続き新しい作品を作っていきたいです。

安中: まずは今回の「雨音 × オルゴール」の組み合わせは続けていきたいと考えています。
そして、音楽配信だけでなく、リアルイベント、アロマグッズや、カセットテープのような物理的なもの、ガジェット など、音楽と絡めた製品展開も面白いのかなと妄想しています

――デラの豊富なヒーリング音楽の知見と、「頭痛ーる」が融合した今回のコラボレーションによって、気象病に寄り添う音楽の可能性を感じるお話を伺うことができました。
ぜひ今後も、第2弾、第3弾と展開していくことを期待しています。本日はありがとうございました。

雨や気圧変化で感じる不調に、雨音でそっと寄り添う。アルバム 『マロと聴く 気象病のための音楽』

[収録トラック]
1. 虹の彼方に~Rain Mix(オルゴールver.)
2. 月の光~Rain Mix(オルゴールver.)
3. 西部林の雨(自然音)~屋久島国立公園
4. 西沢渓谷の雨(自然音)~秩父多摩甲斐国立公園
各音楽配信ストア:https://lnk.to/DLBL-2501
頭痛ーるYoutune公式チャンネルでもご視聴いたけます。
【再生リストはこちら】

■株式会社デラ(Della Inc.)について
https://www.della.co.jp/
昭和47年創立 “心と身体にやさしい” ヒーリングに特化した音楽をお届けしている株式会社デラ。
睡眠・自律神経・ストレス・疲労などテーマに添った専門医監修のもとで制作された音楽は、医学的エビデンス(根拠)に基づいています。

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この記事の監修者
頭痛ーる編集部
頭痛ーる編集部
低気圧頭痛・気象病を予防する方法・対策からお天気と暮らしのこと、頭痛ーるアプリのお知らせ・キャンペーンを発信していきます。

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