11月の天候や気圧変化の特徴と気象病~秋冬は寒暖差頭痛に注意!~
■11月の天候の特徴
・霜降(10月23日頃~11月6日頃)の天候と気圧変化
・立冬(11月7日頃~11月21日頃)の天候と気圧変化
・小雪(11月22日頃~12月6日頃)の天候と気圧変化
・11月の気圧変化の傾向
■季節性うつ病(冬季うつ)
季節性うつ病を緩和するための対処法
バランスの良い食事
適度な運動
感情を話せる人を見つける
自宅や仕事場を明るくする
やることリストの作成
11月の天候の特徴
11月は大陸の高気圧に覆われて乾燥した晴天となる日がありますが、周期的に寒気が北から日本列島の上空に流れ込むようになり、日本海側は雲が広がりやすくなります。強い寒気が流れ込むと低気圧が日本の東海上で発達して冬型の気圧配置が現れ、木枯らしの吹く日が現れます。また、この冬型の気圧配置が現れると北日本では雪の降る日が現れ、季節は晩秋から初冬へと向かいます。
11月の天候には下記の特徴があります。
- 強い寒気の流入による冬型の気圧配置と木枯らし
- 日本海側で現れる時雨(しぐれ)
- 寒さの前の小春日和(こはるびより)
霜降(10月23日頃~11月6日頃)の天候と気圧変化
霜降(そうこう)後半の11月初めも移動性高気圧や大陸の高気圧に覆われて晴れる日が現れやすい時期です。
高気圧に覆われて晴れた日は気圧の変動が比較的小さく、頭痛などの気象病による体調への影響は小さくなりますが、朝の冷え込みにより体調を崩すこともありますので、急な冷え込みが予想された場合は注意してください。
立冬(11月7日頃~11月21日頃)の天候と気圧変化
立冬は暦の上で冬の気配が始まることを意味しています。季節としては晩秋で、朝の冷え込みが強まり紅葉の色づきが進む時期です。
高気圧に覆われて秋晴れとなる日もありますが、日本付近を周期的に通過する低気圧の影響で天気が崩れ、上空に強い寒気を伴った低気圧の通過後に一時的に冬型の気圧配置が現れ、木枯らしが吹くことがあります。関東地方と近畿地方でその年の一番最初の木枯らしが吹いた日を木枯らし1号と呼び、気象庁から発表されています。
また、上空に強い寒気が流れ込むと日本海側では一時的に雲が広がり雨が降ったり止んだりする時雨(しぐれが)が現れます。
年によって違いがみられ、低気圧の通過が少ない年は高気圧に覆われる日が多く、頭痛などの気象病による体調へ影響する日が少なくなりますが、低気圧が短い周期で通過する年は頭痛などの気象病が発生しやすい年もあります。
小雪(11月22日頃~12月6日頃)の天候と気圧変化
小雪(しょうせつ)は、冷え込みが厳しくなり北国で小雪がちらつき始めるころという意味です。上空に寒気が流れ込みやすい年は、低気圧が日本付近を発達しながら通過した後に冬型の気圧配置が現れて続きやすくなります。一方、上空に寒気が流れ込みにくい年は、低気圧があまり発達せず、冬型の気圧配置が現れにくく、現れても一時的となります。
冬型の気圧配置がゆるみ、移動性高気圧に緩やかに覆われた、厳しい寒さの前のこの頃の穏やかで暖かい晴天を小春日和(こはるびより)と言います。
日本付近の上空に周期的に寒気が流れ込む年は低気圧が発達しやすく、低気圧の通過時に頭痛等の気象病が現れますが、冬型の気圧配置が続きやすいため、気圧が大きく低下する日は少なく、頭痛等の気象病が現れやすい日も少なくなります。
一方、日本付近の上空に寒気が流れ込みにくく冬型の気圧配置が続かない年は、低気圧が短い周期で多く通過しやすいため、頭痛などの気象病が現れやすくなりますので注意が必要です。十分な睡眠やリラックスなどで体調を整えて頭痛などの気象病が現われないように心がけましょう。
11月の気圧変化の傾向
下記の図は東京の2016年~2019年の11月の気圧の状況です。赤マークが気圧の変動が大きく特に注意が必要で、次いで黄色、黄緑、水色で、水色は体調への影響が小さかった日を示しています。
気圧の傾向は年による違いが見られました。
2016年は短い周期で低気圧が通過したため気圧変化の大きい日が現れやすく、気圧の安定した日が続かない状況でした。このため、頭痛などの気象病が起こりやすく、体調管理が難しい年でした。
2017年は寒気が流れ込みやすく低気圧が発達しながら通過し、低気圧の通過後は冬型の気圧配置が現れ、高気圧と低気圧の移動速度が速いこともあり、気圧の変動が大きい日が多くなりました。2016年と同様に気圧が安定した日が少なく、頭痛などの気象病が起こりやすく、体調を崩しやすい年でした。
2018年の前半は低気圧の通過で頭痛などの気象病が発生する日はありましたが、高気圧に覆われて比較的気圧の安定する日が多くなりました。後半は低気圧が周期的に通過し、周期的に頭痛などの気象病が起こりやすい日が現れました。
2019年は上旬は高気圧に覆われ比較的気圧の安定した日が続いた時期がありましたが、中旬以降は気圧の谷が短い周期で通過したため、頭痛などの気象病が起こりやすい日が多くなりました。
高気圧に覆われて比較的気圧の変動が小さい時期が現れた年もありますが、低気圧が短い周期で通過し、低気圧による気圧の低下で頭痛などの気象病が発生する日が現れやすい年もあります。頭痛ーるで日々の気圧変化の予想を確認し、頭痛などの気象病の体調管理を行うようにしてください。
11月に現れやすい気象病と体調管理
ノロウイルスの食中毒
食中毒と診断される多くが、高温多湿の夏から秋のに多い「細菌性食中毒」と空気が乾燥する秋から冬に多い「ウイルス性食中毒」です。
細菌性食中毒は、細菌などの微生物が原因で発症する食中毒で、患者数は食中毒の30~40%を占めています。「ウイルス性食中毒」はウイルスが蓄積している食品の摂取や人の手からウイルスが付着した食器から感染する食中毒で、患者数は食中毒の50%を占め、最も多く、ウイルスのほとんどがノロウイルスです。
ノロウイルスは11月から患者数が増加し、1月をピークに3月まで多い時期が続きます。
ノロウイルスは患者の便やおう吐物の飛沫などによる人からの感染と感染した人が調理して汚染された食品や加熱不十分な二枚貝からの感染があります。
ノロウイルスの予防
- 食事前、調理前後の十分な手洗い
- 家庭内や集団施設でノロウイルスが発生した場合の二次感染を防ぐ消毒・清掃・換気
- 食品の十分な加熱と調理器具の消毒
この時期からは、十分な手洗いと食品の十分な加熱や消毒により、ノロウイルスの予防を心がけるようにしましょう。
季節性うつ病(冬季うつ)
季節性うつ病は秋から冬にかけてうつ症状が現れ、3月頃になるとよくなるというパターンを繰り返す病気です。下記の症状がみられます。
- 睡眠時間が長くなり、日中でも眠気がある
- 食欲が旺盛で、甘いものや炭水化物が欲しくなる
- 気分が落ち込み、無気力となる
- 集中力が低下し、日常の家事・仕事がうまく処理できない
季節性うつ病の原因は、日照時間が減少することにより脳内のセロトニンの合成速度が落ちて、セロトニン神経機能が低下することで発症しやすくなります。
季節性うつ病を緩和するための対処法
バランスの良い食事
セロトニンの不足が脳の働きに不調をもたらすことから、セロトニン生成に必要なタンパク質が含まれた肉、魚、大豆やビタミン、ミネラルなのどの栄養素を十分の摂取するようにしましょう。
適度な運動
ウォーキングなどの適度な運動を習慣化することで、落ち込みなどの心身にもたらされる症状を改善する効果が期待できます。特に太陽の光を浴びながらの運動がおすすめです。
感情を話せる人を見つける
一人で悩んでいると気持ちの落ち込みが余計に悪化してしまうため、誰かに話をしてみるようにしましょう。
自宅や仕事場を明るくする
自然の光に多く当たることが理想ですが、自宅や仕事場の照明を明るいものに取り替えることっも効果的です。
やることリストの作成
実行が可能なやることリストを優先順位を付けて作成し、その通りに実行することで気持ちの落ち込みをや憂鬱感を緩和することができます。
秋冬の寒暖差による頭痛
暖かい部屋から冷え込んだ外に出ると体は急激な気温の低下を受けます。寒さを感じると体の熱が逃げないように、自律神経の交感神経が盛んに活動を始めます。常に寒暖差の激しい環境に身を置いていると、交感神経がこの環境に適応しようと反応するため、自律神経が日疲弊し、自律神経の乱れにつながり、頭痛などの体調不良を起こしやすくなります。前日より気温差が5℃以上あると体に影響が出やすくなり、症状も引き起こされやすくなると言われています。
自宅やオフィスの室内と室外の気温差が大きい場合や電車やバスの車内と外との気温差の大きい環境を行き来すると、自律神経が疲弊し、自律神経が乱れ、頭痛などの体調不良が起こりやすくなります。この状態は寒暖差疲労と呼ばれています。
寒暖差疲労を溜めないためには次のような対策があります。
秋冬の寒暖差頭痛の対処法
生活習慣を整える
自律神経の乱れを起こさないためには規則正しい生活が必要で、3食バランスのとれた食事を摂取することが重要です。なるべく冷たいものは避け、温かいものを食べるようにしましょう。豚肉や大豆などのビタミンB1が含まれる食材は疲労回復に効果的です。
また、睡眠不足の状態では自律神経が整えられないため、睡眠を十分とるようにしてください。
軽い運動
ストレッチや散歩などの軽い運動で、体を動かすようにしましょう。体を動かすことで睡眠の質を上げたり、血行を良くして胃腸の働きを改善させる効果や血液の循環を良くするため寒暖差疲労を改善する効果が期待できます。
体を温める
体を温めるのに最も効果的なのが入浴です。入浴は自律神経を整える効果や睡眠障害の改善にもつながると考えられています。外出する際は手首・足首・首を保温することで体を温める効果が得られるといわれています。外出時は帽子やマフラーで首や頭を冷やさないようにしてみましょう。また室内の温度は暖房の設定温度は低めにして、重ね着をするなど寒暖差を感じさせないよう工夫しましょう。
11月の天候や気圧変化の特徴と頭痛などの体調へ影響するポイントを理解して、体調管理を行うようにしてください。
自律神経のケアにこちらの記事もおすすめです。
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【参考文献】
成人病予報対策研究会 ほすぴ 気象と健康~秋の健康~
厚生労働省 ノロウイルスに関するQ&A
日本生活習慣病予防協会ニュース(2016年10月13日)
医療法人社団エムズ コラム(2020.05.19)
健康のいずみ 第537号(2018年9月5日)